人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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小野氏のふるさと

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2008/11/17 09:07

今月始め、滋賀県大津市の和邇(わに)地区で「妹子まつり」が行われた。

この地区には「小野」という集落があり、ここが小野一族のルーツの地として知られているのだ。

小野一族は、第五代孝昭天皇の子孫と伝える古い氏族で、神官に多い春日氏や、柿本人麻呂の出た柿本氏とも同族。推古天皇のときに小野妹子が遣隋使に選ばれ、以後一族から多くの外交官を輩出するなど、奈良・平安前期に朝廷の官僚として栄えた。

子孫は各地に広がっており、平安時代末期に関東平野西部で繁栄した、武蔵七党の横山党や猪俣党も末裔だ。

小野地区は、昭和49年の湖西線開通をきっかけにベッドタウン化が進み、現在では新旧の住民が半数ずつ住んでいる。

昨年が小野妹子が遣隋使として派遣されてちょうど1400年目にあたるのを記念して、妹子をテーマにした「いもこ祭り」が開催された。今年は妹子だけでなく、小野氏全体をテーマとして取り上げ、小野小町や平安時代の歌人小野篁、その孫で書道家の小野道風など、小野氏の著名人に扮して遣隋使船を模した船に乗り込みパレードを行った。

地域の活性化をめざした祭りや、歴史上野有名人をテーマにした時代行列は多いが、特定の氏族をモチーフにしたものは珍しい。

今後も「小野氏」をテーマにした企画を検討中といい、新しい地域振興策として注目している。
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