人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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オバマ氏の余波

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2008/11/10 10:23

11日、米国の大統領選挙で予想とおりオバマ氏がマケイン候補に圧勝して次期大統領に選ばれた。アフリカ系米国人の大統領は史上初のことである。

以前、このブログでも福井県の小浜市が同名のよしみで勝手に応援している、という記事をを書いた。ゲルマン系の名字では、Obamaのように母音の多いものが少なく、日本の地名と同じ発音というのはあまり考えられない。これも、アフリカ系だからこその現象だろう。

ところで、14日鹿児島テレビから某出版社に、私の著書を番組で使用したいので許可が欲しい、という依頼がきた。地名の本は書いていないし、鹿児島というのもピンとこなかったのだが、詳細を聞くと、名字の事典の「小浜」の項目を紹介したいという。

確かに地名に小浜があるだけでなく、名字にも小浜はある。そして、鹿児島県は「小浜」姓の多いところなのだ。

小浜姓は地名由来で、各地に地名がある。地名のルーツも「小さな浜」ということだろうから、小字レベルまで数えると相当な数になるに違いない。従って、小浜さんのルーツも各地にあり、鹿児島県の小浜さんも県内の地名がルーツだ。

歴史上、もっとも有名な小浜氏は、戦国時代に三重県の志摩半島にいた小浜氏。この付近は、浦々にその地に根を張る小土豪がおり、おもに海上で活躍した(ひらたくいえば海賊)。志摩の水軍としてはのちに大名化する九鬼一族が著名だが、九鬼氏がまだマイナーだった頃は、小浜氏が有力な一族であった。その後九鬼氏に敗れて三河に逃れ、江戸時代には幕府の水軍となっている。

こんなことになるのなら、「小浜」の項目はもっと力を入れて書いたのに、と思ったのだった。
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