人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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「たぎし」ってどんな漢字?

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2008/07/14 10:45

13日、沖縄県で夏の甲子園に代表校が決まると同時に、唯一残っていた山口県でも地方大会が開幕し、この日だけは全国で高校野球の予選が行われた(一部試合のなかった大会もある)。

高校野球ほど、全国の様々な名字が登場する機会はあまりない。基本的にスポーツの大会では、選手一覧でたくさん名字が見られるが、高校野球ぐらい裾野の広い大会は他にはないからだ。

朝日新聞社のWEB上の速報サイトをみると、12日に行われた香川県大会で、善通寺一高の2番手投手として「たぎし」という選手が登板している。といってもひらがなの名字でない。WEB上では表現できない名字のようだ。
「たぎし」とい名字には、「舟」偏に「定」と書くものがあるとされるが、担当の方に教えてもらったところ、それとも違って、「定」の上の「うかんむり」が「毎」の上側にかわっているとのことだった。

この名字は、地元の電話帳にも載っていない。従って、最近はやりの電話帳を用いた名字調査では、おそらく調査不能。実は名字には、明治時代に戸籍登録をした際に誤って登録された、ありえない漢字を使用したものが多数ある。現在では、一見して書き間違いとわかる名字については、戸籍を電算化する際に、役所が本人の承諾を得たうえで正しい字に書き直す、という作業を行っている。しかし、「たぎし」のような特殊な漢字だと、書かれている字が正しいのか、間違っているのかすらよくわからない。

とりあえず、この試合の新聞記事は切り抜いて保存する予定。「たぎし」選手にはぜひもっと勝ちあがって、この名字の存在をアピールしてほしいものだ。
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