人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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五十嵐さん大集合

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2008/07/07 10:46

新潟県の地方紙新潟日報の6月30日付紙面に面白い記事が掲載されていた。同県三条市下田地区で「全国五十嵐会」の集いが開催され、全国から約30人が集まったというのだ。

五十嵐姓のルーツは越後国沼垂郡五十嵐で、最近まで南蒲原郡下田村だったが、平成18年に合併で三条市の一部となっている。ここには、信濃川の支流の五十嵐川が流れ、近くには五十嵐神社もある。

この付近は、第11代垂仁天皇の皇子である五十日足彦命(いかたらしひこのみこと)が開拓したと伝え、五十嵐神社は五十日足彦命をまつったものだ。五十日足彦命の子孫は、五十嵐を名字として代々蒲原郡を支配した。鎌倉時代には幕府の御家人となり、以後、直系は代々「小豊次」を名乗っている。

現在でも、五十嵐という名字は新潟県に多く、ここを中心に日本海側一帯に広く分布している。また、「五十嵐」の読み方は現在では「いがらし」が一般的だが、本来は「いからし」のため、新潟県では今でも「いからし」と濁らない人も多い。五十嵐川も「いからしがわ」と濁らないのが正しい。

全国五十嵐会の集いは今年で13回目。参加したメンバーは、神楽や稚児舞を見学、講演を聞いて、俳画教室に参加と、1泊2日の日程を盛り沢山に過ごしている。
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