人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

●サイト(オフィス・モリオカ)
  → https://office-morioka.com/
●ツイッター
  → http://twitter.com/h_morioka
●facebookページ
  → https://www.facebook.com/officemorioka/
●Instagram
 → https://www.instagram.com/office_morioka/

 

W杯3次予選タイ代表の名前

このエントリーをはてなブックマークに追加

2008/06/16 10:20

14日に起きた岩手・宮城内陸地震の影響でほとんど報道されなかったが、同日にタイで行われたW杯3次予選で、日本は3-0でタイを降した。
これで、同日オマーンと引分けたバーレーンとともに、最終戦をまたずに予選2組の2位以上が確定し、ともに最終予選への進出が決定した。

ところでこの試合、タイ代表のメンバー表に記載されていた、GKコーシン以下の名前は、名字なのだろうか。

東南アジアでは、本来名字を持っていなかった。しかし、タイでは20世紀始めに英国留学経験のある国王が、国民が名字を持つことを義務化したため、現在のタイでは全員が名字と名前を持っている。

たとえば、タイ代表チームのチャンウィット監督のフルネームは、チャンウィット・パラシービンである。「チャンウィット」と呼ばれることから、日本などと同じく「姓−名」の順番になっていると勘違いする人も多いが、英国にならって採用した姓名法なので、正しくは「名−姓」の順。つまり、一般的に呼ばれているチャンウィットは名字ではなく名前なのだ。

実際、タイでは名字はあまり使われない。現在のサマック首相も、サマックは名前で、名字はスントラウェートという。首相ですら名字を使用せず、通常は名前で呼ばれている。
タイ代表選手のフルネームは知らないが、同国の発表を使用しているだろうから、おそらく全員名字ではなく名前なのだろう。
このエントリーをはてなブックマークに追加

ページのトップへ