人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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徳次郎の読み方は?

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2008/05/19 10:29

5月13日付の朝日新聞栃木版に面白い記事が掲載されていた。
宇都宮市北部の日光街道沿いに「徳次郎」という不思議な地名がある。この地名の読み方について、日光宇都宮道路の徳次郎インターではローマ字で「Tokujira」と書かれているが、並行する日光街道の看板では「Tokujiro」と書かれている、というのだ。記事には写真も添えられており、確かに両者で表記がことなっている。

では、どちらが正しいのか、というと、地名を管理している宇都宮市によると、「とくじろう」が正しいとのこと。従って、徳次郎地区にある徳次郎郵便局も「とくじろう」と読むが、地元の人達は「とくじら」と呼ぶらしい。

本来、日光東照宮近くの「久次良(くじら)」地区に住んでいた人達が移り住んで「外」の「久次良」で「とくじら」と呼んだのが始まりといい、歴史的には「とくじら」が正しかったようだ。宇都宮市に合併した際に、担当部署が漢字に合わせて一方的に「とくじろう」と変えてしまったらしい。

ところで、実はここをルーツとする名字がある。現在でも徳次郎地区にわずかだけある「外鯨」という名字がそうだ。これで、「とくじら」と読み、この地区がもともとは「とくじら」だったことを証明している。
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