人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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三木の地名

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2008/04/08 09:26

さて、三木鉄道を全線乗ったあと、三木駅から有馬電鉄に乗換えるために市内を歩き、途中で市立図書館によってみた。三木市の中心血はアーケードもある商店街ながら、半分以上シャッターが閉まっているという、いわゆる“シャッター通り”。地方都市の中心街はどこも空洞化が進んでいる。



三木市立図書館では、結構たくさんの出版物を作成している。県庁所在地の図書館ならともかく、人口数万人程度の市の図書館としては、かなり多い方だろう。

その中から、「三木の地名録」「三木陣屋と代官たち」「城下町と武将たち」「三木の人物史」の4冊を購入した。いずれもB6サイズ100ページくらいで、500円前後とお手ごろ価格。

この中の「三木の地名録」(福本錦嶺著,2003)には三木市内の地名の由来が記載されていた。4世紀、神功皇后が仲哀天皇らとともに九州に出兵した際に、この地で休憩をとった。その際、土地の人が地酒を献上したところ大変喜ばれたので、「酒壺」で「みき」という地名になり、のちに漢字が「三木」に改められたという。この時の軍が野宿した場所が市内の「宿原」で、皇后のいたところが「君が峰」であるされ、ともに三木市内に地名として現存している。

「三木」という地名から、つい「三本の木」があったのが由来と考えがちだが、漢字は時代とともに変化することが多い。名字の場合も同じだが、漢字にばかり注目していると、正しい由来を見失ってしまうことがあるので注意したい。
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