人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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メドベージェフ次期大統領

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2007/12/17 09:42

ロシアのプーチン大統領が、自らの後継者にメドベージェフ(Medvedev)第1副首相を選んだ。日本人には覚えにくい名字だが、いかにもロシア人的な名字であるといえる。

日本人は、なぜかロシア人の名字は「〜スキー」だと思っている人が多い。しかし、実際には「〜スキー」という名字はポーランド系で、ロシアでは少数派だ。

では、ロシア的な名字とはどういうものかというと、〜in、〜ev、〜ovで終わるものが多い。現在の大統領がプーチンで、その前の初代大統領がエリツィンと、ともに「in」で終わる。今回、対立候補だったズプコフ首相とイワノフ第1副首相は、ともに「ov」で終わる名字だ。

かつてのソ連の指導者もロシア系が多かったため、ゴルバチョフ、アンドロポフ、ブレジネフ、フルシチョフ、マレンコフと遡ってみても、皆この3つにあてはまる。1980年代の指導者のチェルネンコだけはどれにもあてはまらないが、実は、彼はシベリア出身で、純粋のロシア系ではない可能性が高いのだ。

なお、独裁者スターリンはペンネームで、本名はヨシフ・ヴィサリオノヴィチ・ジュガシヴィリ。聞き慣れない名字でもわかるように、彼もまたロシアではなく、黒海に面したグルジア共和国の出身である。「スターリン」とは“鋼鉄の人”という意味で、あえてロシア的な響きのペンネームを使ったのであろう。

現在のロシアの名字ベスト5は、イワノフ(Ivanov)、ワシリエフ(Vasilyev)、ペトロフ(Petrov)、スミルノフ(Smirnov)、ミハイロフ(Mikhailov)といわれている。内訳は、「ov」が4つで、「ev」が1つ。これ以下の名字をみても「ov」で終わる名字が多数を占めている。
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