人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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ひたちなか市を歩く

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2007/07/03 09:44

1日、茨城県ひたちなか市の海岸沿いを歩いてみた。

北千住からJR常磐線に乗って水戸の次の勝田で降り、跨線橋を越えて隣のホームに行くと、ホームの片隅を仕切って、こじんまりとした茨城交通湊線の乗り場がある。出札窓口で1日乗車券を購入し、1両編成の車両に乗り込んだ。

湊線は、勝田から東に向かい、旧那珂湊市阿字ヶ浦までの単線ローカル線。ひたちなか市は、勝田市と那珂湊市が平成の大合併に先がけて合併したもので、同線はひたちなか市内だけを走る線となってしまった。人家の立て込んでいる那珂湊駅付近を除くと、ディーゼルカーは田園風景の中を走り続ける。

那珂湊を過ぎると海沿いとなり、2つめの平磯駅で下車。このあたりは海岸段丘で、段丘の上を湊線が走っている。駅前から坂道を5分ほど下ると段丘下の海岸に出る。「平磯」という地名でもわかるように、この付近は「浜」ではなく、「磯」が広がっている。好天にも恵まれて、磯には多くの家族連れが出ていた。

この付近は、6500万年前の白亜紀層が露出していることでも有名で、アンモナイトの化石がとれることもあるという。海岸に沿って斜めの地層が連なり、岩の間に絶好の潮だまりを作っている。磯に出てみると、小魚や蟹の姿がみられ、網を持ったこども達が魚取りに余念がない。



海岸沿いの立派な道路にパス停があったので、時間をみると、なんと1日に1本。田舎のバス路線では、朝晩1本ずつ、というところはよくあるが、朝に1本だけ、というのは珍しい。土日や夏休みも運休なので、日本一運行本数の少ない路線バスかもしれない。



平磯からさらに2キロほど歩くと、磯の一部が海に飛び出しているところがある。ここが「磯崎」で、白亜紀層も終わり。実は、旧那珂湊市で一番多い名字は「磯崎」さんで、ここがそのルーツの地だ。今でも、ひたちなか市は日本で一番「磯崎」さんの多い地域である。

磯崎から再び段丘の上に戻って少し歩くと、湊線の終点阿字ヶ浦駅がある。この日はまだ閑散としていたが、夏休みになると、近くの海水浴場への客でにぎわうのだろう。
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