『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

【1題=3分間】「類語変換ゲーム」で文章力を伸ばす!

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2025/01/08 11:32

Photo by Adobe Stock

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第83回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「語彙力の磨き方」について。

語彙力と文章力の深い関係

文章力と語彙力は切っても切り離せない関係にあります。語彙力とは、多くの言葉(単語や表現)を知っているだけでなく、それらを適切に使いこなす能力を指します。

語彙力が低いままでは文章力を伸ばすことはできません。なぜなら、文章は「言葉」で作るものだからです。その人の中に使える言葉がなければ、(当たり前ですが)文章に使うことはできません。文章力を伸ばしたいなら、「書き方」のスキルを磨くだけでなく、そのベースである語彙力も伸ばしていく必要があるのです。

語彙力を高める方法としておすすめなのが「類語変換ゲーム」です。ひとつの言葉を、ほかの言葉に置き換えるゲームです。置き換え表現が豊富な人ほど語彙力が高い状態で、置き換え表現が乏しい人は語彙力が低い状態です。

「親切な人」の類語にはどんなものがある?

では、「類語変換ゲーム」のやり方をご紹介しましょう。

お題として、ひとつ言葉を挙げ、その言葉の類語を3分間でできるだけ多く書き出します。言葉によっては、10個以上出せるものもあるでしょう。なかなか類語が出てこないときも、諦めず、3分間はあれこれ連想しながら捻り出してみてください。

たとえば「親切な人」という言葉の類語には、どのようなものがあるでしょうか? 以下の類語例を見る前に、あなたも考えてみましょう。 

■「親切な人」の類語例

・優しい人
・気が利く人
・気遣いができる人
・思いやりのある人
・包容力のある人
・面倒見のいい人
・献身的な人
・配慮が行き届いた人
・寛大な人
・情け深い人
・心配りができる人
・気立てのいい人
・あたたかい人
・気さくな人

ほかにもまだまだあるはずです。実際に文章を書く際、「親切な人」と書くことが適切なこともあれば、「優しい人」や「気が利く人」「気遣いができる人」などの言葉が適切なケースもあるでしょう。大事なのは、そのつど、置き換え可能な類語をパっと思い浮かべられる状態にしておくことなのです。

類語の書き出しは、多少ズレていてもOKです。「人懐っこい人」「朗らかな人」「フレンドリーな人」などは、厳密には「親切な人」の類語とは言えないかもしれません。しかし、語彙力を伸ばす段階においては、類語の正しさに固執するのではなく、(多少ズレていても)幅広く言葉をアウトプットすることのほうが重要です。

3分間で類語を書き出し終えたら、インターネット上にある類語辞典などを活用し、実際にどんな類語があるかチェックします。あるいは、生成AIを使って「◯◯の類語を教えてください」と聞いてみてもいいでしょう。類語辞典や生成AIでさまざまな言葉をチェックするだけでも、使える言葉の量を増やしていくことができます。

今度は「失敗する」の類語出しの一例です。制限時間は3分間。類語例を見る前に書き出してみましょう。

■「失敗する」の類語例

・ミスをする(ミスを犯す)
・間違える
・しくじる
・誤る
・粗相をする
・ドジを踏む
・失策する
・つまずく
・コケる
・ヘマをする
・ポカをやる

楽しみながら語彙力もアップ!

以下は、「類語変換ゲーム」のお題になりそうなものです。いくつか類語例も添えました。「1題=3分間」でタイマーをかけて、それぞれのお題の類語を書き出してみてください。

■「類語変換ゲーム」のお題例(1題=3分間で書き出してみよう)

・笑う   ▷▷▷ ニヤつく/ほほえむ/ニッコリする……
・誠実
   ▷▷▷ まじめ/堅実/良心的……
・賢い
   ▷▷▷ 利口/クレバー/優秀……
・希望
   ▷▷▷ 願望/憧れ/抱負……
・弱気
   ▷▷▷ 消極的/逃げ腰/気後れ……
・プライド
 ▷▷▷ 誇り/自尊心/自負心……
・グレる
  ▷▷▷ いじける/道を踏み外す/ダークサイドに堕ちる……
・理解する
 ▷▷▷ 腑に落ちる/合点がいく/咀嚼する……
・挑戦する
 ▷▷▷ 試す/チャレンジする/トライする……

その場にいる人全員で順番にひとつずつ類語を言っていく、あるいは、3分間で何個書けるかを競い合うなど、仲間や家族と一緒にゲーム感覚で楽しむのもおすすめです。

語彙力が伸びてくると、おのずと文章表現力や、言葉の選択スキルにも磨きがかかっていきます。文章力を伸ばしたいなら、「書き方スキル」だけでなく、語彙力も高めていきましょう。


山口 拓朗(やまぐち たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

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