日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2024/11/06 10:51
47年振りに鹿児島県を訪れた。市内に泊まった後に噴煙を上げる桜島に渡り、南下して指宿に宿泊。翌日は朝から豪雨となったため、予定を変更して鹿児島市内に戻り、博物館や美術館を訪れた。
どこかに泊まると、夕方や朝に周辺を散歩することにしている。今回も夕方に指宿の海沿いを散歩していると、「十二町」という地名看板を見つけた。富山県に「十二町」という地名があり、それに因む「十二町」という名字があるのは知っていたが、鹿児島県にも地名があるのは知らなかった。
帰宅後に地名辞典で調べてみると、「十二町」は江戸時代は「拾弐町村」だったという。そして、豪商として知られた浜崎家の住んでいた場所だった。明治22年に町村制が施行された際に指宿村の大字となり、現在は指宿市十二町となっている。そして、市内には「十町」もあるという。
さらに調べると、江戸時代初期までは市内には「拾九町」もあり(現在は同市西方・東方)、3つ合わせると41町となる。鎌倉時代初期に書かれた『薩摩国図田帳』によると揖宿郡の田数が「47町」とあることから、おそらくこのうちの41町分が地名となったのだろうという。
古代の条里制は1町(約109m)四方が1単位となっており、「十二町」などの地名はこの条里制の遺構とみられるらしい。