日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2024/09/03 10:20
道成寺から御坊市に戻ると、ちょうど紀州鉄道が出る時刻だったので、そのまま終点の西御坊駅まで乗ってみた。紀州鉄道はわずか5駅、2.7kmという全国で2番目に路線の短い鉄道会社だ。今ではリゾート開発を手掛ける不動産会社としての収入の方がはるかに大きいが、鉄道会社であることの信用度が高く、赤字でも営業を続けている。
この電車、とにかく遅い。2.7kmを8分かけて走り、表定速度は時速20.25km。首都圏の電車の朝のノロノロ運転でも30~40kmくらいなので、その遅さがわかる。私が乗った時には客は2人、全線乗っても180円なので、この時の売上は360円でしかない。もっとも、通学時にはそれなりの乗客があるらしい。
紀州鉄道を終点の西御坊駅まで乗り、少し歩くと浄土真宗の本願寺日高別院がある。御坊市はこの日高別院の寺内町として発展した町で、僧侶の住まいを指す「御坊」が定着したのが地名の由来である。
また御坊には小竹八幡宮という神社もある。江戸時代初期に紀伊藩主徳川頼宣がここに薗御殿を建てたが、頼宣没後に取り壊され、その跡に小竹八幡宮が800mほど北から移されたという。
この神社、「小竹」と書いて「しの」と読む。小さな竹のことを「しの」といい、漢字では「篠」と書くことが多いが、その意味をとって「しの」に「小竹」という漢字をあてたものだ。名字でも、「小竹」は「こたけ」「おだけ」と読むが、御坊市に集中している「小竹」は「しの」「しのう」という独特の読み方をする。