『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

ビジネス文書で使える! 論理的&知的なフレーズ

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2024/08/07 11:57

Photo by Monika/Pixabay

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第78回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「言葉の使い分け」について。

論理的かつ知的な文章を書くコツ

語形は異なるものの、意味の似かよっている2つ以上の語。これを「類義語(類語)」と言います。たとえば「業務」の類義語には、「仕事」「作業」「職務」「任務」などがあります。「会議」であれば、「ミーティング」「打ち合わせ」「協議」などが類義語にあたります。

本稿では、あらゆるビジネス文章で重宝する、論理的かつ知的なフレーズを紹介します。取り上げるのは「○○を踏まえて」「〇〇を視野に入れて」「○○を考慮して」「○○を勘案して」「◯◯を念頭に置いて」の5つ。

5つのフレーズそれぞれが、<重要な要素や視点を考慮する>というニュアンスを含む「類義語」に該当する一群です。場面や内容に応じて賢く使い分けることによって、論理的かつ知的な文章をつくることができます。

5つのフレーズを賢く使い分けよう!

①:○○を踏まえて

「踏まえる」とは、〈ある事柄を考慮する/ある事柄を前提にして考えを進める〉などの意味をもつフレーズです。ことビジネスシーンでは、何か説明をするときや、人に行動を促すときなどに重宝します。

・前回の反省を踏まえて、キャッチコピーを変更しました。

・昨今の業界のトレンドを踏まえつつ、企画を練る必要があります。

・以上の注意点を踏まえたうえで、ご判断をお願いいたします。

 

②:○○を視野に入れて

「視野に入れる」とは、<何かを検討したり、行ったりするときに、ある物事を目標や予測に含む>こと。「考えに入れる」というフレーズを少し硬めにした表現です。読む人の納得度を高める狙いをもって、あえて◯◯を視野に入れることもあります。

・オフィスのリノベーションも視野に入れて再検討します

・多店舗展開も視野に入れながら、話を進めていきましょう。

・後進の育成を視野に入れつつカリキュラムを構築します

 

③:○○を考慮して

「考慮する」とは、<ある物事について、いろいろな角度からよく考える>こと。多くの場合、判断や決断、行動、結論を示すときの前フリに使います。

・消費者アンケートの結果を考慮して商品開発を行います

・それらの条件を考慮しつつ予算を組み直す必要がある

・記録的な暑さだった点を考慮すると、売上げ低迷を一概には責められない

 

④:○○を勘案して

「勘案する」とは、<複数の事情・物事・条件などを考え合わせる>こと。「勘」には<よく調べて考えること>という意味があります。

・環境への影響を勘案しながら、新しいエネルギー政策を策定すべきです

・双方の意見を勘案したうえで結論を出す予定です

・発注先をA社にするかどうかは、上記①~③を勘案して判断する

 

⑤:○○を念頭に置いて

「念頭に置く」は、<常に心がける/心に留めておく>などの意味で、書き手がその事柄に意識や注意を向けている状態を示すことができます。ちなみに、「考えに入れる」と混同して「念頭に入れる」と書くのは誤りです。

・患者さんは多くの専門用語を理解できません。そのことを念頭に置いて説明しなければいけません

・顧客満足を念頭に置きながら、サービスの品質向上に努めています

・効率化を念頭に置きつつ、業務プロセスの改革を進めています

「似たような言葉(類語)なんだからどのフレーズを使ってもいいのでは?」——と、あなたが思っているとしたら、それは大きな間違いです。

仕事がデキて、文章作成能力が高い人ほど、文章の内容に応じて最適な言葉を選んでいます。なぜ、その言葉を選んだのかを説明できるレベルを目指しましょう。


山口 拓朗(やまぐち たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

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