人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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祝津のにしん御殿

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2024/07/09 10:41

JR東日本の大人の休日倶楽部パスのうち、東日本・北海道パスを使って北海道を旅してきた。5日間有効で、新幹線も乗り放題。北海道には梅雨はなく、気温の割にはそれほど暑くは感じず過ごしやすい。

さて、小樽の郊外に祝津という漁港がある。この「祝津」という地名はアイヌ語の「シクツシ」に漢字をあてたもので、意味は「多くの崖がある所」らしい(異説もある)。確かに、祝津には海に落ちる断崖がある。ここはニシン漁で知られたところで、最初にこの地名を見たときには、ニシンの大漁で「祝った津」に由来すると思っていた。

祝津漁港から坂を上ったところに、小樽貴賓館という大網元青山家の旧邸がある。青山家は、もともとは出羽国飽海郡青塚村(山形県飽海郡遊佐町)の網元で、幕末に初代留吉が蝦夷地に渡って鰊漁で大成功、大網元となった。

大正12年(1923)に建てられた青山別邸は2代目の政吉夫婦が先代の出身地山形県から大工を呼寄せて建築したもので、現在は小樽貴賓館として公開され、国登録有形文化財となっている。館内には貴重な工芸品が数多く展示されているが、最も素晴らしいのは1階のホールにある天井画だろう。

また、高台にある邸宅の2階からは祝津の湊を望むことができ、大漁の様子が見えたに違いない。現在、祝津にはおたる水族館や祝津マリンランドがあり、小樽祝津パノラマ展望台は夕陽の絶景場所として知られている。

 

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