『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

文章コミュ力の高い人が使っている「ねぎらいの言葉」

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2024/07/03 11:40

Photo by Pixabay

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第77回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「ねぎらいの言葉」について。

“ねぎらい不足”が不信感を増幅させる?

オンライン化が加速した影響もあり、他人の仕事の様子が見えにくくなりました。それに伴い、「社員同士(スタッフ同士)が実際に声をかけ合う機会も減った」という声もよく耳にします。

対面での会話量の減少を受け、人によっては「仕事を頑張っているのに、誰にもねぎらってもらえない」とモチベーションを下げている人もいます。「ねぎらわれない=承認欲求が満たされない」状態です。

承認欲求は人間がもつ大きな欲求のひとつです。承認欲求が満たされない状態が続くと、どうしても仕事に対する意欲が下がりやすくなります。

相手との関係性や相手の立場に応じて使う言葉を最適化

新人の山下さんは、篠田課長に「顧客にフォローアップメールを配信したこと」は、特に報告していませんでした。しかし、メール配信に気づいた篠田課長は、チャットで山下さんに「ねぎらいの言葉」をかけました。

*チャット文例
山下さん、お客様へのフォローアップメールの配信、お疲れ様でした。
今号は特に充実の内容でしたね。次号以降もその調子でよろしくお願いします。

山下さんは、報われた気持ちになりました。なぜなら、篠田課長が、目に見えない頑張りや努力を見てくれており、なおかつ、わざわざねぎらってくれたからです。

「ねぎらいの言葉」ひとつで、相手との信頼関係は強まります。「ねぎらいの言葉」を長文で書く必要はありません。一、二文の短いもので十分に気持ちは伝わります。

以下は、チャットでかける「ねぎらい言葉」の例です。

【上司から部下へ】
・いつもバックヤードから、チームメンバーを手厚くサポートしてくれてありがとうございます。
・A社との交渉の件、水面下でずいぶん根回ししてくれていたみたいですね。たいへん助かりました。
・あの難しいプランをよく一人でまとめましたね。ご苦労様でした。

【同僚へのねぎらい】
・夜遅くまでプレゼン資料を磨いていたみたいだね。お疲れ様!
・今月の数字、スゴかったね。○○さんが、会員に対して粘り強くアナウンスした努力が実ったね。おめでとう!
・仕事のツケを回す形になって申し訳なかった。○○さんがスピーディに対処してくれたお陰でホント助かったよ!

部下から上司へは、「感謝」や「感動」を伝えよう

通常、「ねぎらい」は、同等の相手か、目下の人に向けて使われます。部下から上司など、目上の人に対しては、「ねぎらいの言葉」ではなく、「感謝」や「お礼」の形で気持ちを伝えましょう。

【部下から上司へのねぎらい】
・営業エリア変更の件、お骨折りいただき、ありがとうございました。
・○○さんの今日のプレゼン、たいへん勉強になりました。
・○○さんが率先して現場を引っ張っていく姿を見て感銘を受けました

「ねぎらう」回数を増やすことは、ザイオンス効果の観点でも理にかなっています。ザイオンス効果とは「何度もくり返し接触することで、相手からの好意・好感・評価が高まっていく」という心理効果のこと。月に一度、ねぎらいの言葉をかけるよりも、チャットでこまめに「お疲れ様!」とねぎらうほうが、相手から信頼や好意を得やすくなります。

昨今は各種ハラスメントを過度に気にするあまり、社内コミュニケーションに及び腰の人もいるようですが、そのスタンスは長期的に見て得策とは言えません。

特に「ねぎらう言葉」の場合、「ねぎらわれることが不快」という人はほとんどいません。むしろ、適切に「ねぎらいの言葉」をかけている人ほど(信用貯金が貯まりやすくなるため)、ハラスメント(加害者)の罠にハマりにくくなります。

メールやチャットでかける「ねぎらいの言葉」は、相手との信頼関係を築いていくためだけでなく、自身がハラスメント加害者にならないための自己防衛手段でもあるのです。


山口 拓朗(やまぐち たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

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