日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2024/07/02 10:02
JR飯田線は本長篠駅をすぎると本数が激減する。この本長篠駅の次が三河大野駅である。三河大野は、かつて別所街道の宿場町として栄えた大野宿に近い。駅を出て宇連川を渡り、400mほど歩くと1本の道に突き当たる。ここがかつての別所街道大野宿だった。
その角にある「鳳来館」は、大正14年(1925)に大野銀行本店として建てられた建物で、現在は「大野宿 美術珈琲 鳳来館」となっている。国登録有形文化財で、1階は喫茶兼ギャラリー、2階は貸しギャラリーとなっている。
別所街道とは豊橋から別所(東栄町本郷)までの街道で、その先は長野県飯田まで続いていた。かつて三河大野は養蚕と林業が盛んで、ここに東三河初の銀行として大野銀行が創立された。大野銀行の創立者大橋正太郎は鳳来寺鉄道(廃線)も創立しており、この地域を代表する実業家であった。
せっかくなので、この大野宿から1つ先の湯谷温泉まで街道を歩いてみた。大野宿には「火縄銃製作」という看板を掲げた店もある。
しばらく交通量の多い国道151号線を歩いたのち、次の集落で旧道に入って湯谷大橋を渡ると湯谷温泉の街に着く。このあたりの宇連川は、川底に大きな岩があり板敷川といわれている。この日泊まった宿の近くは急流となっており、一晩じゅう川の音が絶えなかった。
湯谷温泉は東三河を代表する行楽地の一つ、鳳来寺山の登山口でもある。翌日はバスで山頂に向かい、東照宮、鳳来寺に参拝したあと、1400段の階段を下って表参道に抜けた。