日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2024/02/20 10:06
前回に続いて女房名について。後に『枕草子』を執筆する清少納言は、大河ドラマ「光る君へ」に清原元輔の娘、「ききょう」として11日の放送から登場している。
清少納言という名前は朝廷での女房名。この時点ではまだ朝廷に仕えていないため、「清少納言」と名乗るわけにはいかない。しかし清少納言の本名はまったくわからないので、ドラマ上何かを考えざるを得ない。そこで脚本家が考えたのが「ききょう」である。
一方、紫式部は「まひろ」という名前で登場している。紫式部の本名は「香子(かおるこ)」という説があり、それなりに支持されているのだが定説ではない。
従って「香子」を採用すると、また「史実では~」「最近の研究では~」「研究書の読み込みが~」なとどいう外野の声がうるさくなるので、あえて絶対にありえない現代風の「まひろ」という名を設定したのだろう。因みに、紫式部は実家が藤原氏=藤(とう)家で、父が式部省の官吏だったことから、本来ならば藤式部(とうのしきぶ)となるはずだ。
紫式部が出仕したのは、夫が亡くなった後。『源氏物語』が時の権力者藤原道長に認められたのがきっかけである。その時点で『源氏物語』は広く読まれており、朝廷に仕えたときにはすでに有名人だった。
また、『源氏物語』というのは後からまとめてつけられたタイトルである。当時はまだ執筆途中だったこともあり、各帖の独立したタイトルはあったものの、全体を通したタイトルはなかった。
前半の主人公である紫の上から、「紫の物語」ともいわれていたらしい。そこで、「紫の物語」の著者ということで「紫式部」という女房名になったのではないかといわれている。
このあたりがドラマでどう取り上げられるかも注目したい。