『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

情報力が決め手! 奥行きのある文章を書くための心得

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2023/12/07 10:28

Photo by Gerd Altmann/Pixabay

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第70回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「情報収集アンテナ」について。

トークのプロに学ぶ「情報収集アンテナ」の立て方

文章を書くことが得意でない人の中には、文章の書き方うんぬん以前に、「あること」ができていない人が多くいます。その「あること」とは情報収集です。

書き手自身が持っている情報が不足していると、文章の中身が薄っぺらになりやすく、その結果、文章の説得力や読み応えが下がってしまうことがよくあります。説得力と読み応えを兼ね備えた文章を書きたいなら、書く前に質の高い情報を手元にそろえておく必要があります。

「情報収集アンテナ」を立てる——これが、質の高い情報を手元にそろえるために有効な方法のひとつです。

テレビで芸人さんのトークを聞きながら、「芸人さんの周りには、どうしていつもおもしろい話が転がっているのだろう?」と思うことはありませんか?

しかし実際には、芸人さんの周りにだけおもしろい話が転がっているわけではありません。彼らは、常に「おもしろい物事や出来事を見つけよう」「物事や出来事をおもしろい角度から見てみよう」と意識しているのです。これが、脳に「情報収集アンテナ」が立っている状態です。

「おもしろい物事や出来事を見つけよう」と思っているからこそ、ごく平凡なエピソードも、おもしろいものに見えてくるのです(あるいは、おもしろいエピソードへと昇華できるのです)。

書き出すことで「情報収集アンテナ」が磨かれる

ビジネスパーソンであれば、何はさておき、自分が身を置く業界に関する情報収集アンテナを立てましょう。意識するだけでもアンテナは立ちますが、より強力なアンテナを立てたいなら、ノートや手帳に書き出すことをオススメします(書き出したものを読み上げると、さらに強力なアンテナが立ちます)。

仮に、あなたがアパレル業界に身を置いているのであれば、以下のようなアンテナが有効かもしれません。

情報収集アンテナ例【アパレル業界の場合】
・ファッションのトレンド
・世界のファッションショー
・有名デザイナーのコレクション
・ファッションの歴史
・流行色
・流行のスタイル
・流行の素材
・エコフレンドリーな素材&生産法
・AI×ファッション
・グローバル化×ファッション
・カルチャー×ファッション
・消費者の購入動機
・消費者の購入場所
・ファッション系雑誌・ウェブサイト
・インフルエンサーとセレブリティの影響
・リアルタイムなストリートファッション
・カスタマイズサービスの進化
・各ブランドの最新アイテム
・各ブランドのコラボレーションと限定商品

情報収集アンテナが立つと、その人自身に、以下のような変化が起きます。

■1 意識が変わる
■2 世界の見え方が変わる 
 ※アンテナに関連する情報が目や耳にどんどん飛び込んでくる
■3 行動が変わ
 ※自ら進んで情報を取りに行くようになる

■4 情報の吸収力が変わる
■5 記憶への定着力が変わる
■6 使える情報が増える 
 ※文章作成を含むアウトプットに活用できる

たとえば、先ほど挙げた、アパレル業界で役立つ情報収集アンテナが立っていれば、書店に行ったときに、自然とアパレル関連の本や雑誌が置かれているコーナーに足が向くでしょう。隙間時間についスマートフォンでアパレル系サイトの最新記事をチェックしてしまうのも、その人の中に情報収集アンテナが立っているからです。

一方で、その人が情報収集アンテナを立てていなければ、仮に書店に行ったとしても、アパレル関連の本や雑誌を手に取ることはないかもしれません。同じく、スマートフォンでアパレル系サイトにアクセスすることも、おそらくないでしょう。

仕事に使える有益情報を手元に集めたいなら、なにはともあれ、自分が身を置く業界についての情報収集アンテナを立てましょう。あらかじめ良質な情報を集めておくことで、文章作成スピードが速まるほか、説得力と読み応えを兼ね備えた文章が生み出されやすくなります。

情報収集アンテナを活用して得た情報は、あなたの文章に大いに貢献してくれるはず。文章の書き方を学んでも、なかなか文章の説得力が高まらない人や、読み応えのある文章が書けない人は「情報収集アンテナ」を活用してみましょう。


山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

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