人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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白浜と白良浜

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2023/11/07 10:23

瀬戸漁港と円月島

北陸に続いて、紀伊半島を一周して来た。最初に訪れたのは紀伊白浜。新大阪から特急くろしおで2時間半ほどで白浜駅に着く。白浜駅は「関西の熱海」とも呼ばれる有名な白浜温泉から少し離れているので、バスで白浜温泉に向かった。

途中には南方熊楠記念館のある円月島(臨海)があり、白浜温泉の先には千畳敷や三段壁といった景勝地がある他、空港の近くにはパンダで有名なアドベンチャーワールドもあるなど、関西屈指の観光地の一つとなっている。

東尋坊のような三段壁

さて、白浜温泉の海岸は「白良浜(しららはま)」という。この浜は石英砂で出来ており、『紀伊続風土記』に「砂土潔白にして雪の如し」とあるように、雪のように真っ白い砂浜が広がっている。ここから「白良浜」となり、歌枕にもなるなど古くから景勝地として知られていた。

白良浜

白浜町の中心部は、かつては瀬戸鉛山(せとかなやま)村であった。これは江戸時代の瀬戸村と鉛山村が一緒になったもので、瀬戸は、湾にある島と陸地の間が狭かったために「迫門(せと)」と呼ばれたのが由来。

一方の鉛山は文字通り鉛を掘ったことに因む。鉄砲伝来後、銃弾用に鉛の採掘が盛んになった。古い時代は金属は総称して「かね」「かな」といわれていたため、「鉛山」で「かなやま」という。昭和15年、この瀬戸鉛山村が町制を施行した際に、白浜町となっている。

また、古くは牟婁(むろ)の湯と呼ばれるなど温泉地でもあり、その地名は「湯崎」。中大兄皇子や有馬皇子が入湯したことでも知られる。

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