人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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清左衛門地獄池湧水

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2023/08/01 10:13

なにげなくネットの地図を見ていたら、清左衛門地獄池(湧水)という表記をみつけた。普通、「地獄」というと火山の噴火口付近などで、地熱や火山ガスなどの影響で植物が育ちにくく、岩肌がむき出しの殺伐とした景観となっているところを指すことが多い。「地獄」と「湧水」が重なった場所とはどんなところか行ってみた。

清左衛門地獄池があるのは、伊豆箱根鉄道大雄山線の富士フイルム前駅から、南西に1km強歩いたところである。

まず小田急で小田原に行き、伊豆箱根鉄道に乗り換えて、なぜか異様に背の低い駅名標のある富士フィルム前駅で降りる。ここから駅前の道を南西に進み、狩川を渡ると案内版があった。それに従って歩くとやがて神社と小さな池が見えて来た。住所でいうと南足柄市狩野である。

伝承によると、かつて加藤清左衛門という武士が帰農したものの、この地には水が乏しかった。そこで、水源を探してここまで来ると、乗っていた馬もろとも地中深く落ちてしまった。すると、そこから勢いよく水が湧き出し、村人は飲み水、水田の用水に困らなくなったという。

湧水

以後、この湧水は「清左衛門」と呼ばれるようになったというが、「地獄」の由来はどうもはっきりしない。現在では1日に13,000トンもの湧水量があり、この水を利用して富士フイルムの工場も建てられた。また、平成の名水百選にも選ばれている。

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