日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2023/07/11 10:09
今年も各地で高校野球の地方大会が始まっているが、9日にちょっとユニークな対戦があった。川崎市の等々力球場で開催されている神奈川県大会1回戦の第1試合は、菅-麻生。高校野球としてはとくにどうということのない試合だが、その校名をみるとまるで自民党の総裁選のような響きがある。
県立菅高校があるのは、川崎市多摩区菅地区。読み方は「すが」ではなく「すげ」。少なくとも江戸時代初期には見られる地名で、その由来は植物の「スゲ」に因んでいる。菅地区は多摩川沿いで、かつてはスゲが繁っていたのだろう。
古い時代にはスゲは菅笠をはじめ、生活の様々な場面で利用される有用な植物だった。従って「すげ」のつく地名や名字は多く、「すが」と変化したものも多い。
一方の県立麻生高校も読み方は「あそう」ではなく「あさお」。所在地は川崎市麻生区で、この地名も南北朝時代にはすでに存在していた。
地名の由来はやはり植物で、「麻の生えていた場所」という意味だ。古代の「麻」は繊維のとれる植物を広く指し、多くはカラムシ(苧)のことをいった。カラムシの茎の皮から採れる繊維は非常に丈夫で、縄や網などに使われた。
従って、麻の生えている場所は重要で、各地に「麻生」という地名ができた。多くは「あそう」と読むが、川崎市麻生区は「あさお」である。なお、試合は麻生高が8-1(7回コールド)で菅高に勝利している。