日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2023/06/27 10:59
新潟県には伊藤家以外にも多くの豪農がおり、その屋敷も多数現存している。また、日本海側有数の湊だった新潟には数多くの豪商たちもいた。そのうちの1つが斎藤家で、新潟市中央区西大畑町には旧斎藤家別邸が残っている。
新潟県には旧家の斎藤家がいくつかあり、この所有者は新潟三大財閥の1つ斎藤喜十郎家。江戸時代から酒造を営む豪商の家系で、幕末には海運業や銀行業にも進出。昭和になると新潟硫酸会社を設立して新潟最大の財閥となったが、戦後の財閥解体で解体された。
この別邸を建てたのは、貴族院議員もつとめた齋藤家の4代目喜十郎(庫吉)。大正7年(1918)に別荘として建設したもので、総敷地面積1300坪を誇る広大な別荘である。新潟市中心部の北西側に広がる砂丘地形を利用した回遊式の庭園と、近代和風建築の秀作といわれ、平成21年(2009年)に新潟市が公有化、27年には国の名勝に指定されている。
秋には松林の緑と赤いモミジのコントラストが美しいとのことだが、初夏でもその庭園は見事だった。1階の広間で写真を撮っていると、職員の方から「座った目線からの景色が秀逸」といわれ、改めて座って撮る。確かに、座った主人の目線で最も美しく見えるようにしつらえられているのだろう。
さらに、2階からの景色も素晴らしい。北方文化博物館(伊藤家)のスケールの大きな邸宅もすごいが、別邸にもかかわらず贅を尽くした屋敷は豪商の懐の深さを感じさせる。