人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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榊原温泉と榊原康政

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2023/04/18 10:56

伊賀上野の帰り、時間に余裕があったので近鉄大阪線の榊原温泉口という駅で降りてみた。駅名通り榊原温泉への入口にあたる場所である。榊原温泉の歴史は古く、『枕草子』に「ななくり(七栗)の湯」として登場、有馬の湯、玉造の湯とならぶ名湯とある。

駅から榊原温泉方面を望む

さて、「榊原」というと大河ドラマ「どうする家康」に登場している杉野遥亮演じる榊原康政を思い出す。放送第2回で大樹寺に居候している若き武士として登場、桶狭間合戦で敗れ、先祖の墓の前で自害を図ろうとした当時の松平元康と出会っていた。その後しばらくして家康の小姓として再登場し、以後も時折顔を見せている。

この榊原氏、ルーツははっきりとしないのだが、清和源氏で足利将軍家の庶流と伝え、室町時代に仁木利長が伊勢国一志郡榊原に住んで榊原氏を称したといわれている(異説もある)。この榊原の地が現在の三重県津市榊原、榊原温泉のある場所だ。

『寛政重修諸家譜』によると、清長のときに三河国に移って松平氏に仕えたといい、松平氏の重臣酒井氏の家臣であったらしい。清長の孫康政は13歳で徳川家康に見いだされて小姓となり、家康から「康」の字を賜って康政と名乗った。のちに四天王の一人にも数えられて数々の戦で功をあげ、天正18年(1590)の関東入国の際には上野館林で10万石を領した。

駅の北側には巨大な銅像に囲まれた「ルーブル彫刻美術館」というユニークな美術館がある。ルーブル美術館公認で、同館所蔵の様々な彫刻の原寸大レプリカを造り展示している。教科書やテレビなどで見た有名な彫刻群が所狭しと並んでいるのはなかなか壮観で、一見の価値がある。

 

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