日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2023/02/14 10:45
矢作川右岸の鳥居一族の本拠地から、矢作川を渡って岡崎駅方向に進むと同市上和田地区に出る。ここは松平氏譜代の家臣である大久保一族の本拠地であった。大河ドラマ「どうする家康」では、小手伸也演じる大久保忠世が初回から登場している。この忠世の末弟忠教が後の大久保彦左衛門である。
大久保一族は松平氏譜代の家臣であったが、その由来ははっきりしない部分が多い。家伝によると、藤原姓で遠祖は下野の名門宇都宮氏。南北朝時代に泰藤が三河国上和田に来住して宇都宮入道蓮常と称したのが祖という。そして、泰藤の曾孫の泰昌が松平信光に仕え、以後松平氏の家臣となったと伝える。
『寛政重修諸家譜』によると、忠俊(忠世の叔父)のとき越前の武芸者大窪藤五郎から「大窪」の名字をもらって一族揃って「大窪」を名乗り、後に「大久保」に変えたというが、そもそも宇都宮氏の一族である武茂泰藤(大久保氏の先祖でもある)の子忠泰は下野国武茂荘大久保郷(現在の栃木県大田原市亀久か)を領して大久保氏を称したとあり、「大久保」という名字は本来これに因むものである可能性が高い。
大久保氏の住んでいた上和田城跡は残っておらず、上和田公民館の敷地に大久保氏一族発祥地の碑が建てられている。渡の鳥居氏発祥地が三河鳥居氏の本拠地であったように、この大久保氏一族発祥地も三河大久保氏の本拠地という意味合いが濃いのだろう。