『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

SNS投稿で使える「書き出し」のアプローチ10選

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2022/12/06 10:31

(photo by Velizar Ivanov/Unsplash)

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第58回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「人を惹きつける書き出し」について。

「書き出し」で読む人の感情を動かそう!

SNSに投稿する文章では、文章の冒頭、つまり「書き出し」のパートが極めて重要です。最初の1、2行で興味をもたれなければ、続きの文章が読まれる確率は格段に下がります。

一方、最初の1、2行で興味をもたれれば、投稿文を最後まで読んでもらえる確率が高まります。

では、どのような書き出しが有効なのでしょうか? 書き出しを読んだ人から以下のような反応がとれれば、その書き出しはおおむね成功です。

おもしろい!/スゴーい!/何それ?/知りたい!

教えて!/驚いた!/本当に?/えー、怖い!/初めて聞いた!

ウソでしょ?/それはすばらしい!/よくぞ言ってくれた!

すべての反応に「!」や「?」が付いています。つまり、「読む人の感情が動いた」ということです。

人間は感情の生き物です。読む人の興味・関心を引き付けるためには、どんなアプローチであれ、感情を動かす必要があります。感情が動くことによって、読む人が続きの文章への期待を高めていくのです。

手っ取り早く使える「書き出し」のアプローチ10選

以下は、感情が動きやすくなる書き出しのアプローチ例です。

①「自分の声」から始める

・「まずい! スマホがない!」
・「なんなんだ、この感動は!」
・「う、ウソだろ? ウソだと言ってくれよ!」

②「他人の声」から始める

・「人を不幸にする諸悪の根源は『心配』だ」。師匠に言われたそのひと言で目が覚めた。

③「自分の意見」から始める

・部下にムリやり残業を強いるのはナンセンスと言わざるを得ない。

④「問いかけ」から始める

・あなたは、自分の適職に気づいていますか?
・あなたが人からよく褒められることは何ですか?

⑤「問題提起」から始める

・「結婚しない」という選択をすることが、そんなに悪いことなのでしょうか?

⑥「気づき&発見」から始める

・結婚20年目にして、なぜこの夫を結婚相手に選んだのかがわかりました(笑)

⑦「物語」っぽく始める

・それは初めて娘を保育園に送り届けたときのことでした。

⑧「告白」から始める

・じつは隠していたことがあります。その昔、ホームレスをしていました。

⑨「弱み・失敗」から入る

・あまり信じてもらえませんが、わたしは極度の人見知りです。

⑩「会話」から入る

「オレは卵だな」
「えっ、卵が大好物なの? あらゆる食べ物の中で卵が一番?」
「うん、ダントツ。いちいちスーパーで買うのが面倒くさいから、庭でニワトリを飼おうかと真剣に考えているところ」 
 そこまで言ったところで、その場に居たみんなが大笑いした。

*     *     *

もちろん、ほかにも、まだまだたくさんの書き出しパターンがあります。状況や目的によっては、感情を動かすアプローチよりも、事実を淡々と綴るシリアスな書き出しがハマるときもあるでしょう。いずれにしても、最初の1、2行で読む人の感情を動かし、意識をその文章へと引き込まなければいけません。

SNS投稿の成否を決めるのが「書き出し」である、と言っても過言ではありません。厳しい言い方をするなら、書き出しを疎かにする人は、文章を疎かにする人です。せっかく書いた文章を最後まで読んでもらうためにも、「書き出し」に工夫を凝らしましょう。


山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書は『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術――「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

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