人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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観音寺市と銭形砂絵

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2022/11/02 10:18

先月24日、高松市の香川県民文化大学で講演を行ってきた。その際、せっかく香川県まで来たので1泊して県内を少し歩いてみた。翌朝、予讃線に乗って西へ。多度津より西へ向かう各駅停車のほとんどは観音寺止まりのため、とりあえず観音寺までいってみる。

普通「観音」と書くと「かんのん」と読む。織田信長と六角義賢(承禎)が戦ったことで有名な近江の観音寺城も「かんのんじ」である。しかし、香川県の観音寺市は「かんおんじ」が正しい読み方だ。

ところがややこしいことに、観音寺市の市名の由来となった四国八十八か所の第69番札所七宝山観音寺は「かんのんじ」が正式名称。そもそも「観音」とは「観世音(かんぜおん)」の略で本来は「かんおん」だが、2つの語が繋がるときに発音が変化する「連声(れんじょう)」によって、「かんのん」と変化したものだ。この、「かんおんじ」市にある「かんのんじ」は、68番札所の神恵院と同じ場所にあることでも知られている。

さて、観音寺市といえば銭形砂絵。駅前からタクシーで琴弾山山頂にある展望台に行き、その姿を眺めてみた。この巨大な砂絵が、風雨にさらされながらも江戸時代からずっとこの形を保ち続けているのは、地元の人達の努力が大きいのだろう。山の麓には銭形に因む「世界のコイン館」もある。

財田川と琴弾山
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