『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

仕事で成果を出す!「読まれる文章」の書き方

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2022/10/05 10:53

(photo by Bruce-Mars/Unsplash)

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第56回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「読まれる文章」について。

クルマ雑誌の読者は誰なのか?

日本で売られているクルマ雑誌の数を知っていますか? 定期刊行物だけでも30誌以上は存在します。ではなぜ、それほど多くのクルマ雑誌が存在するのでしょう? 

少し質問を変えましょう。クルマ雑誌の読者は、いったい“誰”なのでしょうか? 「クルマが好きな人やクルマの購入を考えている人……かな?」と思ったあなた、間違いではありませんが、正解でもありません。

クルマ雑誌の読者例  
 
クルマの購入を検討している人/ドライブ好きな人/スポーツカー愛好者/旧車(古いクルマ)愛好者/軽自動車愛好者/4WD愛好家/トラック愛好家/バス愛好家/バン(1BOXカー)愛好家/クルマの外装や内装をドレスアップするのが好きな人/DIY愛好家/カーグッズ愛好家/ガレージにこだわる人/走り屋(速く走るのが好きな人)/キャンピングカー愛好者/カーオーディオ愛好家/モータースポーツ愛好家/エコカーが好きな人/ベンツのオーナー/BMWのオーナー/Miniのオーナー/アメ車のオーナー ……etc

 

 

 

 

もうおわかりでしょう。30誌以上あるクルマ雑誌は、それぞれ読者が違うのです。ここに挙げた以外にも、車種ごとに読者層を絞り込んだクルマ雑誌がたくさん存在します。

対象を絞り込んで明確化しよう

仮に、どこかの出版社が、今から「クルマ好き全員」に向けた雑誌(=クルマの総合雑誌)を創刊しても、おそらく、その雑誌はほとんど売れないでしょう。

なぜなら、「クルマ好き全員」という広すぎる読者設定では、ターゲットが漠然としすぎているからです。世の中にはすでに、読者を絞り込んだ雑誌が存在しています。その人たちにとって、情報の範囲が広すぎる「総合雑誌」では物足りないのです。

先ほど挙げた「クルマ雑誌の読者例」のとおり、ひと言で「クルマ好き」と言っても、一人ひとりの興味や感心事は、まったく異なります。

たとえば、「軽自動車好き」と「モータースポーツファン」と「キャンピングカー愛好家」が求めている情報は同じではありません。だからこそ、数十誌あるクルマ雑誌がそれぞれビジネスとして成り立っているのです。

私たちの書く文章も、クルマ雑誌の売り方と何ら変わりません。大切なのは、文章の「読み手」、つまり「読者」の絞り込みと明確化です。

仮に、法人営業担当のAさんが営業メールを書くとして、X社とZ社へ送るメールの文面は同じ、つまり、コピペ文面でOKでしょうか? 答えはノーです。

なぜなら、読み手が違うからです。X社とZ社では抱えている課題やニーズ、求めている情報など、何もかもが違います。

営業メールで大事なのは、相手(=商品・サービスのターゲット)の課題解決にアプローチできているか、相手にとって価値ある情報を伝えられているか――なのです。

営業メールで成果をあげるためには、X社にはX社向けの、Z社にはZ社向けの文章を書く必要があります。考え方は、クルマ雑誌のそれと同じです。

旧車愛好家向けの雑誌が、旧車愛好家が喜ぶ情報を載せるように、営業メールの場合も、そのつど、届ける読者に最適化する形で、彼ら彼女らが喜ぶ情報を盛り込む必要があるのです。

「読み手目線の文章」へシフト

筆者は、書き手が書きたい情報を書く文章のことを「書き手目線の文章」、読む人にとって価値のある文章のことを「読み手目線の文章」と呼んでいます。

【書き手目線の文章】
 相手のニーズを満たせない → 結果・成果が出にくい

【読み手目線の文章】
 相手のニーズを満たせる  → 結果・成果が出やすい

仕事で成果を出したければ、「読み手目線の文章」を書かなくてはいけません。書かれている内容の価値が読み手にとって低ければ、どんなにその文章がわかりやすかったとしても、仕事で成果を出すことは難しいでしょう。

企画書、報告書、提案書、プレゼン資料、チラシ、ニュースレター、メールマガジン、商品販売サイト、SNS投稿……など、どんな文章を書くときでも、読み手不在の文章(=書き手目線の文章)を書いてはいけません。

あなたの文章を読む読者は、誰(あるいは、どんな属性の人たち)でしょうか?

文章を届ける読者を明確にしたうえで、その人たちのニーズに応える情報を伝えましょう。「書き手目線の文章」から「読み手目線の文章」へのシフトが、仕事で成果を出す文章を書くための最重要ポイントです。


山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書は『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術――「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか25冊以上。

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