『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

お世話になった人からの誘いをソフトに断る方法

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2022/04/06 16:34

(photo by freestocks/Unsplash)

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第50回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は、「言いにくいこと」をなるべくソフトに伝える方法について。

言いにくいことの先延ばしはお互いにストレス

ビジネスシーンでメールやチャットを書く際、「言いにくいこと」を先延ばししてしまう人がいます。

【「言いにくいこと」の一例】

・相手の依頼や誘いを断るとき
・相手の意向に添えないとき
・自分のミスを報告するとき

「言いにくいこと」について、言葉を濁したり、婉曲的に伝えたり、隠したりするのはよくありません。相手に迷惑がかかるだけでなく、巡り巡って、言わなかった本人がダメージを受けかねません(周囲からの信頼を下げる等)。

「言いにくいこと」ほどスピーディかつ明確に相手に伝える必要があります。

【原文】

キャンペーン企画の件ですが、費用対効果に懸念がございます。
とはいえ、コンセプトは悪くありません。
引き続き、検討いたしたく存じます。

 本当に検討する気があるならともかく、この時点で「却下しよう」と決めているとしたら、原文の書き方は不誠実です。相手に変な期待をもたせてしまうからです。

【改善文】

◯◯の企画の件ですが、熟慮の結果、採用を見送らせていただきました。
費用対効果が低いという結論に達したためです。
ご期待に添えず、誠に申し訳ございません。
恐れ入りますが、ご理解、ご了承いただけますと幸いです

 検討する気がないなら、改善文のように不採用の旨をはっきり伝えましょう。

自己防衛のための「先延ばし」は、伝える側にとってもリスクが小さくありません。後日、正式に断らなければいけないほか、気をもんだ相手が頻繁に連絡を入れてくるかもしれません。

また、「先延ばし」していることに罪悪感を覚え、心理的な負担を感じる人もいるでしょう。「先延ばし」をすることでムダなコスト(時間・労力・心理面)をかけることになるのです。

お世話になっている人からの誘いの断り方

あなたは、親しい取引先の担当者から「○○イベントに参加しませんか?」とお誘いを受けましたが、断ろうと考えています。そんな時、どんなメールを書きますか?

【原文】

○○イベントにお誘いいただき、ありがとうございます。
11日ですが、まだ予定が見えません。
スケジュールが見えた段階で、改めてご連絡いたします。

【改善文】

○○イベントにお誘いをいただき、ありがとうございます。
あいにくその日は所用があり、参加がかないません。
またの機会にお誘いいただけますと嬉しいです。

参加する気がないにもかかわらず、原文のような返信をしているとしたらアウトです。思わせぶりな「先延ばし」は相手に迷惑をかけてしまいます。

もちろん、ストレートに「参加しません」と伝えればいいということではありません。改善文で示した「あいにくその日は所用があり〜」のように、相手が納得しやすい理由を添えましょう。「あいにくその日はすでに予定が入っており〜」のようなフレーズでもいいでしょう。

また、「参加できません」は「参加がかないません」と書くことで印象がソフトになります。あなたが今後もお誘いを受けたいようなら、「またの機会にお誘いいただけますと嬉しいです」「これに懲りず、またお誘いいただけますと幸いです」のような言葉で結びましょう。

自分のミスを上司へ報告するときの伝え方

次はミスの隠蔽例です。あなたのミスによって、クライアントのAさんからクレームを受けました。あなたは、その一部始終を上司にメールで報告しなければいけません。

【原文】

先ほど井上さんから○○の件で、お問い合わせをいただきました。
少し行き違いがあり、誤解が生じたものと思われます。
明日電話を入れて、もう少し詳しく話を聞いてみます。

【改善文】

先ほどBさんから○○の件でお叱りを受けました。
わたしの伝え方が悪く、□□について△△という誤解を与えておりました。
すぐにお詫びし、現在、対応策として◇◇を進めております。
完全にわたしのミスです。申し訳ございません。

「責任逃れ」しようとしている原文に対し、改善文では自分の非を認めたうえで、対応策を進めている旨を伝えています。自分のミスを隠さず、スピーディに報告できる人は、相手や周囲から信用を得やすくなります。まさしく「ピンチはチャンス」です。

「言いにくいこと」を言わずにいた場合、「バレたらどうしよう……」とハラハラすることになります。これは精神衛生上も最悪で、仕事への集中力も削がれます。もちろん、状況を放置すれば大問題に発展することもあります。

人を巻き込んでのは「先延ばし」は、大きなトラブルを誘発するリスクも秘めています。身に覚えのある方は注意しましょう。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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