人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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湯河原町と土肥実平

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2022/02/15 10:52

13日放送の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、敗走する源頼朝を舟で真鶴から安房に送り届けた土肥実平。その銅像が湯河原駅前にあるというので行ってきた。JR東海道本線で小田原駅から4つめの駅が湯河原で、静岡県との県境に位置する。

湯河原というと温泉が有名だが、今では駅前に「鎌倉殿の13人」の幟が並び、土肥実平の夫婦の像が建てられているなど、「土肥実平」で売り出しているようだ。というのも、ここは土肥実平の本拠地で、駅から少し歩いた湯河原の町の中心部の住所は「湯河原町土肥」である。

土肥氏は桓武平氏の一族で、実平が相模国足柄郡土肥郷に住んで土肥氏を称したのが祖。土肥郷は現在の湯河原町と真鶴町一帯を指す広い地域であったらしい。実平は源頼朝の重臣として活躍し、鎌倉幕府でも重きをなした。子孫は各地に広がったが、本拠地の土肥でも室町時代まで支配していたとみられる。

駅から東に10分弱歩くと相模湾に出る。海岸沿いにある湯河原海浜公園のあたりは門川(もんがわ)といい、近くの民家の駐車場の片隅に「旧門川村名主富岡家跡」という碑があった。この富岡家、土肥氏の末裔と伝える。伊能忠敬が測量の際に同家で昼食をとった際、土肥実平の墓のある城願寺を参拝したという。

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