日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2022/01/31 13:04
先日金沢を訪れたのこと。バスで訪問した先からの戻り、バスの時間が合わずタクシーを呼んだのだが、金沢駅までタクシーで戻るのなら、同じ料金で北陸鉄道に出ようと考え、さらに最寄りではなく蚊爪駅まで行ってもらった。
運転手さんからは「何もないですよ。何しに行くんですか?」と驚かれたが、浅野川線に乗るのなら蚊爪駅に行きたい。というのも「蚊爪」というのはなかなかユニークな地名だからだ。「蚊」のつく地名は珍しいし、そもそも蚊に爪があるのか、というはなしだ。
「蚊爪」は「かづめ」ではなく「かがつめ」と読む。もちろん蚊に爪などあるはずもなく、「かがつめ」という地名に対する当て字である。江戸時代には「加賀爪」と書いていたという。
「かが」とは草地などを指す言葉で、「つめ」は「詰め」で何かの場所の端のこと。ということは、「かがつめ」は草地の端ということになる。素直に漢字にすると「加賀爪」だが、あえて「蚊爪」と「蚊」という漢字を使っている。
実はかつては「蚊」を使う地名は「蚊沼」(群馬県)「蚊谷」(福井県)「蚊野」(三重県・滋賀県)「蚊屋」(鳥取県)蚊居田(高知県)「蚊焼」(長崎県)など各地にあり、このうち土佐の蚊居田には蚊居田城があり、城主は蚊居田氏であった(現在の地名は南国市里改田・浜改田)。
蚊に対するイメージは、今とは違っていたのではないだろうか。