日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2021/11/16 09:00
日本ハムに新庄剛志監督が就任した。多くの人が「まさか」と思った人事で、そのド派手な会見以降、スポーツニュースの話題をさらっている。この2年間はコロナ禍でスポーツ界は満足な集客ができなかったため、新庄監督で球界全体が盛り上がることは大きいだろう。
ところでこの「新庄」という名字、全国ランキングでは3000位以内なのでメジャーな名字だが、あまり多いとは感じないのではないだろうか。
というのも、東北・沖縄・九州南部を除いて、各地にまんべんなく分布しているからだ。滋賀県や富山県には比較的多いものの、それでも「集中している」というほどではない。
「新庄」とは文字通り「新」しい「庄」のこと。「庄」は「荘」とも書き、荘園を指している。荘園とは中世に貴族や寺社が所有した私有地のことで、荘園は名字のルーツに大きく関係している。
新しい荘園に関係していた人が名乗ったのが「新庄」「新荘」で、荘園を管理した人の名字が「庄司」や「荘司」である。この「しょうじ」は「庄子」「東海林」などにも変化した。一方、新庄に対して元からある荘園は「本庄(荘)」「古庄(荘)」といった。
こうした荘園を自衛するために武士が生まれ、彼らが土地の名前を名乗ることで武士の世界に名字が広がっていった。