人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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「真鍋」のルーツ

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2021/10/11 11:28

(画像はプリンストン大公式サイトよりキャプチャのうえ一部加工)

今年のノーベル賞は、気象学者である米国プリンストン大学の眞鍋淑郎上席研究員が物理学賞を受賞した。

「真鍋」(眞鍋)という名字はルーツの地がはっきりしている。備中国小田郡真鍋島、現在の岡山県笠岡市真鍋島がルーツだ。瀬戸内海に浮かぶ島で、すぐ南の佐柳島は香川県に属している。

平安時代末期にこの真鍋島に移り住んで真鍋氏を称したのが祖で、出自は藤原氏とも橘氏ともいいはっきりしない。真鍋島城に拠って、真鍋島・北木島・飛島・六島を支配し、源平合戦では平家方に属した。『平家物語』には弓の名人として「備中国の住人真名辺四郎・真名辺五郎」という人物が登場する。一族は瀬戸内海周辺に広がった。

対岸の讃岐国山田郡(香川県)には、向城(高松市木太町)に拠って香川氏に属した真鍋氏がいた。また、和泉国日根郡(大阪府)にも真鍋氏があり、天正13年(1585)に豊臣秀吉が根来衆と戦った時には秀吉に属し、江戸時代は紀伊藩士となっている。

「真鍋」という名字は現在でも瀬戸内海沿岸に広がっており、香川県西部から愛媛県の東予地方に多い。とくに愛媛県四国中央市の旧土居町と旧新宮村に集中しており、真鍋淑郎氏も旧新宮村の生まれである。

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