『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

「夏休みの作文」があっという間に書けてしまう秘策

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2021/08/04 16:55

(Photo by AnnieSpratt on Unsplash)

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第42回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は、夏休みの宿題を上手に書けるようになる秘訣について。

作文が苦手な原因は?

夏休みの手ごわい宿題といえば、作文。なかなか手が進まず、困ったり焦ったりしているお子さんも多いのではないでしょうか。そんな子どもに向かって「何をグズグズしているの! 早く書いちゃいなさい!」と怒鳴り声を上げても仕方ありません。おそらく本人も、書きたいけど書けなくて困っているのでしょう。

子どもの作文能力を飛躍的に伸ばす方法があります。それは「自問自答」です。自問自答とは、自分に質問をして、その質問に自分で答えることです。自問自答ができるようになると、その子どもの作文能力はグングン伸びていきます。

文章には「自問自答」が欠かせない

親御さんの中には、「作文を書くときに自問自答なんて必要だったっけ?」と首を傾げる人もいるでしょう。たしかに、学校教育で「作文を書くときは自問自答しましょう」と教わった人は少数かもしれません。

しかし、自覚していないだけで、作文を書くすべての人が自問自答をしています。このことに例外はありません。

今日はお友だちのかぞくといっしょにバーベキューをしました。

たとえば、子どもが、この文章を書いたとします。そのとき、子どもは「今日、わたしは何をした?」と自分に質問をしているのです。その質問に対して「お友だちのかぞくといっしょにバーベキューをした」と答えた。だから、この文章を書くことができたのです。本人が意識する・しないにかかわらず、文章の裏には、必ず自問自答があるのです。

バーベキューの作文をこってり書くなら?

たとえば、先ほどのバーベキューの文章も、以下のような自問自答をくり返すことで、作文の素材(=情報)をどんどん手元に集めていくことができます。

自問:バーベキューの何が楽しかった?
自答:炭に火をつけるのも楽しかったし、みんなでお肉を焼くのも楽しかった。

自問:一番おいしかった食べ物は?
自答:牛のカルビー! それと、デザートに焼いたマシュマロもおいしかった。

自問:何か困ったことや失敗したことはあった?
自答:トウモロコシを焼いているときに目を離してしまって、気がついたら、片側半分が真っ黒に焦げてしまった。

たった3回の自問自答で、興味深い素材が引き出されました。質問に答えたもの(=自答)は、すべて作文の素材です。このまま自問自答を続けていけば、さらに魅力的な作文になりそうな気がしませんか?

親子インタビューをしよう!

とはいえ、年齢にもよりますが、お子さんによっては「自問自答」がどういうものかわかっていない子もいるでしょう。そうなると「自問自答しなさい」とアドバイスしたところで、やり方がわからず、固まってしまうかもしれません。

そこで、親御さんの出番です。子どもの自問自答を手伝ってあげてください。オススメしたいのが「親子インタビュー」です。

たとえば、海水浴の思い出について作文を書く子どもには、以下のようなインタビューをしてみてください。

【子どもへの質問例】
・どこの海水浴場に行った?
・どんな海(浜)だった?
・海や浜で何をして遊んだ?
・何が一番楽しかった?
・何かおもしろいエピソードはあった?
・何か失敗したエピソードはあった?
・誰と一緒に行ったの?
・お昼やおやつは何を食べた?
・日焼けした?
・また海水浴に行きたい?

このように、さまざまな質問をしていきます。子どもは自分で質問を考えるのは苦手でも、親の質問には答えようとします。一つひとつの質問に答えていくことで、作文の材料がどんどん手元に集まります。親の質問に答えることで、作文の下書きをしている、とも言えます。

インタビューがのってきたら「深掘り質問」せよ!

質問に対して、子どもが楽しそうに答えたときや、たくさん話をしてくれたときはチャンスです。その話の中から、作文にするとおもしろくなりそうな事柄やエピソードを拾い上げて「深掘り質問」することで、さらに魅力的な素材を集めることができます。

料理と作文は、まったく同じです。食材がなければ料理は作れませんが、作文も材料がなければ作れません。「自問自答=材料集め」なのです。

親子インタビューをすることで、子どもは効率良く作文の材料を手にすることができます。すると、子ども自身の内側から「書きたい!」「書ける!」という気持ちが自然とわいてくるのです。そう、カギを握っているのは、子どもではなく、子どもの親や周囲にいる大人にほかなりません。作文で苦戦している子どもと一緒に親子インタビューを楽しみましょう。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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