日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2021/08/02 11:32
三重県津市の石水博物館で「佐藤家文書の世界」という特別展が開催されている。
南北朝時代に作成されたこの系図は、日本一多い名字である佐藤一族の系図としては最も古いもので、重要文化財にも指定されている。佐藤一族を前面に押し出したこうした展示は珍しく、佐藤の会として三重を訪れて地元のテレビ局に出演、さらに、とちぎテレビ「U字工事の旅!発見」の三重ロケにも参加してきた。
番組の内容はオンエアを見ていただくとして、この系図も注目をあげると、佐藤一族の祖である公清には、「佐藤」ではなく「左藤」と書かれていることだ。つまり、佐藤一族は当初は「左衛門府の藤原」に因む「左藤」で、のちに「佐藤」に変化したことがみてとれる。この「佐」がどこからきたかには大きく2つの説があるが、佐藤の会では下野国佐野の「佐」である、という説を採用している。
そしてこの系図は「佐藤系図」といいながら、藤姓足利氏や小山氏など、秀郷流藤原氏を広く収載している他、一族の波多野経秀にも「佐藤」と併記されるなど、「佐藤」は単純な一名字ではなく、同族集団を意味する姓に近いものであることを示している。
特別展の会期は9月5日まで。佐藤さんは入館料が安くなるほか、図録も割引で購入することができる。