日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2021/07/19 09:04
犬吠埼を訪れた後は、銚子電鉄の終点、外川の町を歩いた。この付近は海岸段丘の上にあり、外川駅から港に向かっては急な降り坂となる。昔ながらの細い路地が縦横に走る中、坂を下りきると外川漁港に出る。外川の湊は、紀伊の崎山次郎右衛門が万治元年(1658)から6年余の歳月を費やして開き、碁盤状の町割りも行ったという。
実は、銚子市は周辺の自治体とは違う全く独自の名字分布となっている。銚子市で圧倒的に多いのは宮内だが、県順位は65位とそれほど多くない。2位には全県で最多の鈴木がはいるが、3位からは、加瀬、山口、石毛と県のランキングとは全く違う名字が上位に並んでいる。
さらに10位には向後が入り、11位岩瀬、13位椎名、14位名雪と続く。このうち椎名は外房に広く分布しているが、向後は銚子市と隣の旭市に全県の半分があり、名雪は全国の半数近くが銚子市にあるという独特の名字である。この他、白土や滑川も多い。
銚子は江戸時代初期に紀州から浜口儀兵衛が移り住んで醤油の醸造を始め、以後町の大きな産業となるなど、海を通じて紀州など他国とのつながりがあり、県内他地域とは違う独自の文化が発達したのだろう。