日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2021/04/12 10:41
私事ながら、先日還暦を迎えた。44歳で始めたこの連載も16年目に突入、すでに800回を突破している。これまでも、仕事で出かける際には一足のばしてその地の史跡などを見てきたが、今後はもっと積極的にいろんな場所に出かけていきたいと思う。
ということで、まずは栃木県の氏家を訪ねてきた。氏家地区は全国の氏家さんのルーツの地。平成大合併までは氏家町だったが、喜連川町との合併で現在はさくら市となっている。
JR東北線の氏家駅でおり、西の鬼怒川に向かって20分ほど歩くと、川沿いの広い公園とその奥の城跡がみえてくる。勝山城といわれているこの城跡が、かつての氏家氏の本拠地、氏家城だった。中世の城なので天守などはないが、立派な空堀は健在。きれいに整備された本丸跡と、城跡からみえる鬼怒川の景色は絶景だ。
氏家氏は、中世に下野国の大半を支配していた宇都宮氏の一族で、嫡流は南北朝時代に没落したが、ここから氏家氏は各地に広がった。最も有名なのが美濃の氏家氏で、戦国時代に氏家卜全は稲葉氏、安藤氏とともに西美濃三人衆と呼ばれて活躍した。このほかにも、陸奥の氏家氏や出羽の氏家氏など、一族といわれる家は各地に多い。