人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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岐阜県の「田」地名

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2021/04/05 10:47

(画像は地理院地図よりダウンロードしたもの。赤丸を加筆加工)

子どもの頃、5万分の1の地形図を買って眺めていた筆者にとっては、国土地理院がWEB上に公開している「地理院地図」は見ていて飽きない。

先日もとくに目的もなく眺めていたら、岐阜県に面白い地名を見つけた。揖斐川の西側、大小の池が点在する養老町南部にある「田」という地名だ。付近には水田のマークが広がり、このあたり一帯が田園地帯だということがわかる。従って、文字通り「田」に因む地名だろうが、「田」というのは大胆だ。調べてみると、読み方も「た」とのこと。

周辺を探してみると、近くの神戸町にも「田」という地名があった。やはり揖斐川の西岸で、こちらも田園地帯にある。この「田」地名については、平凡社の「日本歴史地名体系」に記述があった。室町時代には「田村」として見える古い地名で、地名の由来はやはり水田が多かったことに因むという。

こうした由来の田村という村は全国各地にあった。明治以降の市町村合併で吸収された際、多くは「村」をとらずに「~町田村」などとしたのだが、この2か所では「村」をとって「田」という字名にしたのだろう。

調べてみると、和歌山県湯浅町など何か所かに「田」という地名はあるようだ。

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