「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2021/02/25 16:32
PTAでも地域のボランティアでもキッズスポーツのクラブチームでも、高齢者が組織のトップに居続けると、どうしても昭和の時代の古い考え方をひきずってしまい、なかなか新しいやり方に変えられないというジレンマを抱えているところも多いのではないでしょうか。
たとえば、私の息子たちが通っていた小学校では、年に一回、父母が使うスリッパを2年生の父母が学校に行って洗うという活動がありました。「なぜ、平日にスリッパ洗いのために父母が行かなくてはならないのだろう」とずっと疑問に思っていましたが、少し高齢のPTA会長が「昔からずっとそうやってきたのだから」と言うだけで議論が始まることはなく、一蹴されてしまいました。会長の一言は絶対という空気があったからです。
でも、共働きの親が多い昨今、昔と違って平日に学校に行くのも難しくなっています。もし、時代の流れに合わないような活動をそのままにしておいては、参加している多くの父母の負担になってしまいます。
「なんで父母がスリッパ洗いのために、わざわざ平日に登校しなくちゃならないんですか!」と言ってしまうと感情論になってしまうので、「この活動は今の時代にそぐわないと考えている父母が多いので、やり方を改めてみませんか?」という提案型の言い方がお勧めです。「前向きにみんなで考えましょう!」というポジティブな声かけから始めてみると良いでしょう。
また、キッズスポーツの高齢の指導者の中にも「自分の指導方法が気に入らなければ、やめてもらっても構わない」と公言してはばからない人がまだ、少なからずいると聞きます。そういう人に、自分の意見を伝えるときには、どうしたら良いでしょうか。
たとえば、昔からよくサッカーの練習に取り入れられている「コーンドリブル」。赤いコーンを一直線上にならべて、そこをジグザクにドリブルをするという練習ですが、止まったコーンを避ける練習は何の意味もないと考える指導者も昨今は多いようです。
ですので、「コーンドリブル」は止めたほうが良いのではと言いたいのであれば、
NG「コーンドリブルはもう時代遅れだからやめてください」
OK「ブラジルやイタリアの少年チームでも今は、あまりコーンドリブルはやっていないそうですね。新しい●●という練習方法を監督はどのようにお考えですか?」
と相手の意見を聞くような形で提案できると良いと思います。
考え方が古いと言われる一方で、高齢の方々は経験と知恵の宝庫でもあります。一概に高齢者の意見を否定するのではなく、提案したり意見を聞く形でうまく付き合っていければ良いのではないかと思います。
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