「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2020/12/23 17:57
感染拡大によるGotoトラベル政策の一時停止もあり、この年末年始は多くの人が自宅で過ごすことになりそうですが、このような状況下でも、会合や食事会、帰省をどこまで自粛するかは個人差が大きいように感じます。今回は、このような状況下で食事会や「ちょっと会わない?」と誘われたときの断り方、さらには帰省の断り方について考えてみたいと思います。
まず、仕事で食事会に誘われたときの答え方です。私も先日、ある会社の研修が終わって「今回の研修についてお話も伺いたいですし、今後の研修についてもご相談をしたいので、このような状況下ではありますがお食事でもいかがですか?」とその会社の社長から声をかけられました。その場ですぐにお断りをするのは失礼だと思い、そのときは「ありがとうございます」と答えたものの、研修の報告書を送るときに次のようにメールで返事をしました。
「先日はお食事会にお誘いをいただき、ありがとうございました。せっかくお声をかけていただきましたが、今、86歳になる母のところに頻繁に通っておりますこともあり、できれば会食ではない形でお目にかかれたら嬉しく存じます。いつでも御社にお伺いしますので、お声をかけていただければ幸いです」
仕事を受けている立場だと、会合や会食を断るのはとても勇気がいることです。もしかしたら、それでこの後の研修がなくなってしまうリスクもありますが、昨今のコロナウイルスの感染拡大を鑑みるならば会食は避けたいと感じ、上記のような断り方をしました。
私のようなフリーランスですと、個人的な理由で断るしかありませんが、たとえば組織に所属している人であれば「会社の決まりで、今は会食はできないことになっております。本当に申し訳ございません」と断ることもできるでしょう。
他にも、年末年始に学生時代の仲間から、声をかけられることもあるかもしれません。そのようなときは「ぜひ会いたいんだけど、感染も広がってるからオンラインでやらない?」とオンライン飲み会に切り替えるように提案するのも良いでしょう。そうすれば、少なくともぜひ会いたいと思っている気持ちは伝えられます。
また、帰省先で友人たちから声をかけられたら「ぜひ会いたいんだけど、自分が住んでいるところはこの辺より感染者が多いから、みんなに迷惑をかけたらいけないので」と断ると良いでしょう。「自分のせいで万が一クラスターでも発生したら、みんなに迷惑をかける」と、自分からのリスクを理由に断れば、そんなに角を立てずに済むと思います。
さて、世の中全体では帰省を避ける空気があるものの、義実家からコロナのことはあまり気にしてないから、帰省を楽しみにしていると声をかけられたらどう断れば良いでしょうか。
今は民間の医療機関でPCR検査が受けられるようになったので、検査を受けてから帰るという方法もあります。ただ、家族全員でPCR検査を受けてまで帰省をする気にはなれないときには「ぜひお義父さんお義母さんにお会いしたいと思うのですが、PCR検査を受けてもそのあとに感染してしまう可能性もありますし、何より万一のことがあったら大変ですから」と、相手を思うからこそという部分を強く打ち出して断れば納得してもらえるでしょう。
あるいは、ご近所の手前帰りにくいと伝える方法もあります。
「もし、帰省して万が一のことがあったら、ご近所の皆様にご迷惑がかかってしまうので難しいです」と伝えるのも良いでしょう。実際に今年の夏は、帰省した息子がいる家に対し、近所の人から「なんで帰省した? 早く帰れ!」といった手紙を投げ込まれたというニュースがありました。
ここまでされるのはレアケースだったとしても、感染者の多い都会から子供が帰省した家に対する近所の目が冷ややかなものになることは事実です。その後もご近所関係がギクシャクしないようにするためにも、今年の帰省は遠慮しますと伝えれば納得してもらえるでしょう。つい先日も、私の夫の実家がある熊本の親戚と電話で話をしましたが、感染者が多数出ている都会よりもずっとコロナの感染者情報には敏感で、ナイーブになっている印象を受けました。一人でも感染者が出た商店街、病院には一切行かないとまで話していました。
都会で暮らしていると、そのようなわけにはいきませんが、それだけ感染に対する意識が都会と地方では違っているということも認識して行動をすることが必要だと感じます。
せっかくの会食の誘いや帰省の誘いを断るのは申し訳ないと思うかもしれませんが、この年末年始はこれ以上感染を広げないためにも断る勇気を持ちたいものです。
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