日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2020/09/14 15:49
先日、目黒区にある「油面」というユニークな地名を紹介したが、目黒区には「蛇崩」(じゃくずれ)という地名もある。今回も東急東横線の祐天寺駅を起点に、前回とは反対方向の北西方向に向かって数分歩くと、陸上自衛隊三宿駐屯地の手前の5差路に出る。ここの信号の地名表示が「蛇崩」である。現在では上目黒だが、昭和7年の目黒区誕生までは正式な地名だった。
「蛇崩」という地名は、蛇崩山や蛇崩沢などを含めて全国に何か所もある。しかし、それらはほとんど山の中。東京の住宅地の中での「蛇崩」はかなりインパクトがある。
この蛇崩交差点の少し手前に、道を横切る形で歩道が東西方向に伸びている。歩道の入り口には「蛇崩橋」とあり、ここがかつて川が流れていた暗渠であることがわかる。これは、目黒区の駒沢2丁目から世田谷区の下馬1丁目まで、約3キロも続く蛇崩川緑道である。
「蛇崩」という地名の由来には諸説あり、中には崖から大蛇が出てきたというのもあるが、これは漢字の字面から生まれた後付けだろう。「崩」というのは文字通り崩壊してできた崖地を指す。この付近は武蔵野台地の末端で、実際に歩いているとかなりの高低差があることがわかる。
「蛇」は台地の末端の崖地を蛇行して流れる川を蛇に見立てて「蛇崩川」と言ったのが由来ではないだろうか。