「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2020/09/10 13:06
今秋から来年にかけて、多くの企業の業績が悪化し、早期・希望退職を募集する企業が増えるのではないかと言われています。そこで今回は、リストラにあった自分の周りの友人にかけるひと言について考えてみたいと思います。
あなたが友人から「リストラ勧告にあって転職活動を始めた」という話を聞いたとき、一番言ってはいけないのは「ネガティブな話題に持っていくこと」です。たとえ心配から出た言葉であっても、他人から
「住宅ローン、まだだいぶ残ってるんだろ?」
「子供がまだ小さいから大変だね」
などと言われるのは、言われる側からすれば「余計なお世話」です。そもそもそのようなことについて一番心配しているのはリストラにあう本人(とその家族)なので、他人が口を出すのは相手の傷に塩を塗り込むようなものです。本人からこういった話題に触れるのは良いですが、聞き手が持ち出すべきではありません。
このようなときに聞き手がとるべきスタンス、そしてリストラされる人が一番望んでいるのは「痛みを分かち合ってもらうこと」です。まずは「そうか、大変だな」と受け止めたうえで共感し、できるかぎり本人が話すことで気持ちが楽になるように聞き手に徹することをお勧めします。
また、仮に自分がいる業界への転職を相手が検討しているのであれば、知っている限りの情報を伝えてあげたほうがよいでしょう。
ただ、そんなに詳しくもない業界やテーマについては、良い・悪いの判断も含め、安易な意見を述べるのはやめておくのがベターでしょう。あまり責任が持てないような発言で相手を迷わせることになってしまうからです。やはりその人の人生がかかっていることなので、何かアドバイスをするならば、きちんと調べたうえで伝えるほうがよいでしょう。
なかには、リストラをきっかけに実家に帰るという人もいるかもしれません。ただ、実家が田舎だと噂があっという間に街の中に広がることも多く、実家に帰るのもかなりの覚悟を要します。そのようなときは、
「なんだかんだ言って、親はそばに帰ってきてくれるのが嬉しいものだから、きっと親孝行になるよ」
「〇〇(実家のある町)って海が近くていいよね。また、サーフィンとか始めてみたら」
など、実家に戻ることを前向きに感じられるような話題に持っていきましょう。そこで相手から「遊びに来てくれる?」と聞かれたら、遠くておいそれとはいけないと感じたとしても「もちろんだよ! サーフィンするの、楽しみにしてるよ!」と前向きに答えてあげることをお勧めします。
「明日は我が身」ではありませんが、こうした問題はいつ自分に降りかかってくるかわからない世の中です。もし、相手の立場だったら何を言って欲しいか、どんなアドバイスを欲しいのかを考えてみると、思いやりのあるひと言が見つけられるでしょう。
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