日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2020/08/11 14:47
和食駅のある土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線は、後免町駅でとさでん交通の路面電車後免線の終点である後免町停留所と接続している。この付近の地名は、南国市大埇という。読み方は「おおそね」。古くは「大曾」と書いて「おおそね」と読んだらしく、後に大埇に転じた。
この「埇」という独特の漢字は方言漢字といい、この地方以外では使われない。難読のため、近くのコンビニでは「大そね店」とひらがなになっていた。こうした方言漢字には、愛知県の「杁(いり)」や、山梨県の「垈(ぬた)」などが有名だ。
「そね」とは一般的には石の多い痩せた土地を指すといわれ。地名は各地にあり、「曽根」や「曽祢」という漢字をあてることが多いが、高知ではこの「埇」という漢字を使い、南国市大埇の他にも高知市高埇という地名がある。
しかし、大埇は二期作で知られる香長平野の真ん中にあり、肥沃な農村だ。実は「そね」は山の稜線を意味する「すね」から変化したともいわれている。
確かに大埇には、吾岡(ごうか)・船岡という2つの小山がある。高知市高埇も比島という小山の麓で、高知の「そね」は山の稜線を語源としているという可能性が高そうだ。