日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2020/06/16 09:20
新型コロナウイルス感染症による自粛も2ヶ月以上が過ぎて少しずつ解消されはじめた。とりあえず、県内の移動はOKということで、神奈川県民の私は先日箱根を訪れた。
当日はあいにくの霧と雨。誰も乗っていないケーブルカーやロープウエーは、何も見えない真っ白な霧の中に突き進んでいく。眼下に雄大な景色が広がっているはずの大涌谷も視界0。これはこれで貴重な経験だったかもしれない。
さて、泊まったホテルは強羅にある。これで「ごうら」と読むのはかなりの難読だ。しかし、あまりにも有名なためか、クイズなどで取り上げられるのはあまりない。そもそも「強」も「羅」も、地名ではあまり見かけない漢字だろう。メジャーな地名では羅臼町(アイヌ語の当字)と倶利伽羅峠(サンスクリット語の当字)くらいだ。このことでもわかるように、「強羅」というのは、音に漢字をあてたものだと推測できる。
強羅は明治以降に開発された比較的新しい温泉地で、もとは巨岩がごろごろしている荒地だったらしい。そこから、「ごろごろ→ごうら」となり、「強羅」という漢字があてられたという。もちろん異説もあり、何が正しいかははっきりしないが、飛騨山脈にある野口五郎岳の「五郎」も巨岩がゴロゴロしていたことに因むといい、こうした変化は割とよくあることだったようだ。