「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2020/02/17 09:41
まもなく新年度がやってきます。子供たちの卒業や入学、職場でも異動や転勤があったりと、3・4月は別れと出会いの季節です。そして、新しい人間関係が始まるこの時期はそのまま、コミュニケーション力の差を痛感させられるときでもあります。
他人と心の距離を縮めるのが上手な人は、異動してきた人や新しく出会ったばかりの人が相手でも、旧知の仲だったかのごとく親しげにコミュニケーションをとれるでしょう。その一方で、いつまでたってもあいさつ程度しか交わせず、心の距離が一向に縮まらないという人もいるかもしれません。
いったいなぜ、心の距離を縮めるのが上手い人と苦手な人との差が生まれてしまうのでしょうか。
それは、会話のキャッチボールが成立しているかいないかの差です。
よく「会話はキャッチボールだ」と言われますが、そもそもどうやったらキャッチボールが成立するのか。ここで、会話のキャッチボールとは「(まだ、会話中に入れていなかった)新しい情報を投げ合うこと」と定義したうえでみてみましょう。
まずこの会話では、Aさんが投げたボールに対して、BさんはAさんとほぼ同じ内容で答えています。
つまり、Bさんはボールをキャッチしてそのまま投げ返しただけで、「新しい情報を乗せたボール」を投げたわけではありません。だから話がまったく発展せず、Aさんは再度「新たな情報を乗せたボール」をBさんに投げなくてはならなくなりました。
次の展開として、またAさんが「天気予報の話」という新たな情報を追加したボールを投げましたが、Bさんは今回も新しい情報を投げないどころか、ボールをキャッチしたまま止まってしまいました。
これでは、Aさんがまた別の新しい情報を投げなくてはならなくなってしまいます。そしてそのうち(Bさんとは、話しづらいな……)という気持ちが芽生えて会話は打ち切りになってしまうでしょう。
初対面の人同士が親しくなるには、お互いに情報を投げ合わないと心の距離が縮まりません。相手から振られた話に自分の情報を新しく加えて返すことで、はじめて心の距離が縮まるのです。ですから、さきほどの例で言えば、Bさんも以下のように情報を追加したうえで、Aさんに投げる人になるべきです。
このように自分に関する「新しい情報」を少しずつ入れて返せば、会話はいくらでも弾ませられます。
自分に関係する情報を相手に伝えることを「自己開示」と言いますが、この自己開示をさりげなく会話の中で行えば、相手との心の距離を縮めることができます。
新しい出会いの季節に、少しでも初対面の人と心の距離を縮めたいと思ったら、ぜひ、新しい情報をプラスして会話のボールを投げ返すようにしてみてください。
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