日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2019/12/16 15:49
深川にある地下鉄の駅というと、何を思い浮かべるだろうか。「深川」と冠した駅がないため、地元の人以外にはわかりづらく、清澄白河駅(半蔵門線・大江戸線)、門前仲町駅(東西線・大江戸線)、森下駅(新宿線・大江戸線)などと正しく答えられる人は意外と少なそうだ。このうち、清澄白河という駅名は、「清澄」と「白河」を合成したもの。そして、「清澄」という地名も人名由来とされる。
江戸時代初期この付近は干潟だった。やがて埋め立てられ、寛永6年(1629)に誕生した深川猟師町の1つとして弥兵衛町と呼ばれた。弥兵衛は開拓者の名前で、当初は年貢がなく、漁業を許された代りに魚介類を献上する義務を負っていた。
江戸中期頃に清住町と改称されたが、これは弥兵衛の名字と考えられている。そして、昭和に入ってから漢字が「清澄」と改められた。紀伊國屋文左衛門の屋敷跡ととわれ、維新後は岩崎家が所有した清澄庭園で有名だ。
一方、「白河」の方は比較的新しい地名で、白河藩主松平定信に因んでいる。定信は寛政の改革を断行した老中として有名で、清澄白河駅近くの霊巌寺に立派な墓地がある。昭和7年に霊巌寺付近に新町名が付けられた際、これに因んで白河町と名付けられた。
江戸時代を通じて激しく膨張した江戸には、こうした人名に因む地名は多い。