人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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下総国の二宮

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2019/11/18 13:31

(画像は嵐公式Instagramよりキャプチャ)

先日、元アナウンサーとの結婚を発表した嵐の二宮和也。名字と同じ名前の千葉県船橋市にある二宮神社には、多くのファンが訪れているという。

「二宮」というのは、本来一般名詞だ。江戸時代以前の旧国において、最も格式の高い神社を一宮といった。

たとえば、相模国の一宮は寒川神社(神奈川県寒川町)、伊豆国の一宮は三嶋大社(静岡県三島市)、下総国の一宮は香取神宮(千葉県香取市)、常陸国の一宮は鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)と、現在でも有名な神社であることが多い。中には武蔵国のように、古くは東京都多摩市の小野神社が一宮だったが、のちにさいたま市の氷川神社に転じたといわれるところもある(異説もある)。

そして、一宮に次いで重要な神社を二宮、その次を三宮と呼んだ。従って、諸国に一宮、二宮、三宮と呼ばれる神社があった。もちろん地域によっては二宮までの国や、逆に四宮以下もあるという国もあった。上野国では実に九宮まであったという。

つまり一宮や二宮というのはあくまで各神社の別称で、正式名称は他にあるのが普通だ。そうした中、下総国では鎌倉時代から二宮はそのまま二宮神社という名称であったらしく、全国的にみても珍しい。

なお、こうした一宮は二宮は地名となっているところも多く、二宮という名字はそうした地名に因む名字である。

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