「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2019/11/13 11:56
今から25年前ぐらいのまだ結婚して間もないころ、営業電話の対応に苦労しました。相手の巧みな話術に巻き込まれて、気づいたら10分ぐらいしゃべっていたことや、ひどいときには「あなたお仕事してるの? 保険は買わなくてもいいからうちで働かない? 電話の感じがいいから」とスカウトされたことまであるぐらいです。
今でこそ、興味のない営業の電話を早々に切る術を身に着けましたが、「興味ありません!!」とか「うちの電話番号、どこで調べたんですか!」などと語気を荒らげて断った後は、(この人は、こんなふうに怒りのエネルギーを一日でどれだけ受けたんだろう……)と、切った後も嫌な気持ちが残ってしまったものです。
そこで、語気を荒らげずスマートに、しかもさっさと断れないものかと考えました。
そもそも営業をする側にとっても、まったく脈のない相手と延々話すこと自体、無駄な時間となります。だから「なるべく早い段階で、電話を切る」ことがお互いの利益になるはずだと思い至りました。
相手も営業のプロなので、なかなかこちらが口をはさむ間を作ってくれませんが、相手が黙ってくれるまで待っていたら埒があきません。ですから、相手が何をしゃべっていても「すみません、興味がないので失礼します」と言って、さっさと電話を切ることにしました。
このとき、言葉が相手のしゃべりに被ってもまったく問題はありません。「すみません」という言葉と「失礼します」という言葉で最低限の礼は尽くしていますので、切った後も後味が悪くなることもありません。
さらに、電話を切るときも受話器を「ガチャン!!」という音がするように置いて切ると相手に失礼なので、いわゆる「フック」という受話器をかける下にあるところを指で押さえて切ります。そうすると、相手に耳障りな音を立てずに電話をスマートに切ることができます(携帯電話にかかってきた場合は、そもそもフックがないので気にする必要がありませんが)。
家でも会社でも、迷惑な営業電話には「すみません、興味がないので失礼します!」のひと言と、フックで電話を切るで、気持ちよく断りましょう。