「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2019/10/23 11:58
どこの家庭でも、何気ない夫婦の会話が突然火を噴き、ケンカに発展することがあると思います。先日、我が家でも「どうしてそういう言い方をするんだろう?」とムカッとすることがありました。
山形県をドライブしていたときのことです。周りには高い建物がないところに、忽然と30階建てぐらいの高層マンションが現れたのを見て、夫は「なんであんなところに高層マンションがあるんだろう?」と言いました。
私が「上山温泉があるから、温泉地に別荘代わりにマンションを買う人がいるんじゃない?」というと、夫は「ふぅん」とつれない返答。
その反応に対し、私は内心(『ふぅん』じゃないでしょう? そっちが質問したんだから、もっと何か別の言い方があるんじゃない?)と腹が立ちました。せめて「なるほど!」「そういうことか!」など、少しはこちらの話に興味をしめす相づちを打ってほしかったのです。
そうしたモヤモヤを抱えながら走っていたら、今度は「この辺に駐車場ないかな?」と夫が聞くので、「駅の東側に一か所あるよ」とスマホで調べて答えました。すると今度は「そんなとこ、一杯に決まってるだろ」と斬って捨てるような返答が。
さすがに今度は私の堪忍袋の緒が切れて、「あのさぁ、そっちからいろいろ聞いてくるから調べたりして答えているのに、なんでそんな気のない返事をしたり、反論ばっかりするわけ? だいたいあなたは、いつも何かこちらが話しかけても反論ばっかりするよね……」とヒートアップ。
私の得意の過去をほじくりかえす攻撃が始まり、これ以上怒らせると大変だと思ったのか、その後、夫は黙っていました。
そして後日、勤め先から帰ってきた夫から「この間の『なんで私の言うことにことごとく反論するわけ?』って話を飲み会でみんなに話したら『それは、記者の病気なんじゃないか』って。何か話を聞くと、反論を考える癖がついてるんだよね」と言われました。
でも、記者であろうがなかろうが、男性は反論好きなのではないかと思います。よく「論理的な男性脳・感情的な女性脳」と言われていますが、女性が男性に話しかけるときは、論理的に考えて結論を出して欲しいのではなく、ただ、共感して欲しいだけということがよくあります。
それなのに、「それは間違っている。◯◯するべきだ」みたいなことを言われてしまうと、興ざめしてしまうのです。「女性との会話で相手を不機嫌にさせてしまうことがよくある」という男性のみなさんは、不要なところで反論しすぎていませんか?
ちなみに、この一件以来、夫は私が何か話しかけたとき、一瞬答えるのを待ってから、わざとらしく「そうだね」と言うようになりました。形だけでもそういわれると、悪い気はしないものです。