アナウンサー・渡辺由佳が解説「こんなときどう言う?」

「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!

職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)

著者プロフィール

渡辺由佳(わたなべ・ゆか)

1964年、東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業。テレビ朝日にアナウンサーとして入社。報道から社会情報番組まで多数の人気番組を担当。1993年に独立。以後、フリーアナウンサー、話し方講師としての活動を始め、テレビ朝日アナウンサースクールやシェリロゼ(自分磨きスクール)で指導を行なうほか、「ビジネスマナー」「コミュニケーション」「ビジネスメール」をテーマに企業向けのセミナー講師も務める。2016年より大妻女子大学文学部非常勤講師を務める。

著書に、『会話力の基本』(日本実業出版社)、『スラスラ話せる敬語入門』『サクサク書けるビジネスメール入門』(以上、かんき出版)、『気の利いた「ひと言」辞典』(講談社)などがある。

ブログ:渡辺由佳の素敵なことば探し
http://ameblo.jp/sutekinakotoba/

「わかりません」という返事は、なぜ相手をイラッとさせるのか

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2019/10/09 11:37

(photo by jedi-master/Adobe Stock)

「○○さん、レジお願いできる?」
「新しいレジの使い方、まだわかりません!」

消費税の増税と軽減税率の導入で、このような会話が日本全国で交わされているかもしれません。尋ねられた方としては、本当にまだ使い方がわからないので素直に「わかりません」と言っただけなのに、なぜか上司の機嫌が悪くなって困ってしまった、という経験をした人もいるのではないでしょうか。

【改善前】

わかりません!

【改善後】

まだ、やり方がわからないのですが、教えていただけますか?

「わからない」に含まれる拒絶のニュアンス

なぜ、機嫌が悪くなってしまうのでしょうか。それは「わからない」で返事を終えてしまうと「わからないし、やる気もない」というニュアンスも含んだ返事に聞こえてしまうからなのです。

欧米では、イエス、ノーをはっきり伝えた方が良いと言われます。しかし、日本語の「ノー」のニュアンスの言葉は少し厄介で、「やろうとする気持ちもない」という印象を含んで相手に受け取られる可能性があります。つまり、

  • できない → やろうともしない
  • 在庫がない → 他の店舗の在庫を探す気もない
  • 間に合わない → 間に合わせる努力をする気もない

言葉の印象がこのように変換されたうえで、相手に受け取られてしまうこともあるのです。

だからどうするのかを一気に伝える

ですから、誤解を与えないためにも「わからないからどうするのか」というメッセージを一気に伝える必要があります

「まだやり方がわからないのですが、教えていただけますか?」と伝えれば、相手の気分を害することはまずないでしょう。「今はわからないけれども、教えていただければすぐにやる気持ちがあります」という前向きな気持ちを相手に伝えることができるからです。

「ビジネス会話はNOでは終わらない」という鉄則があるくらいです。わからないことや、できないこと、間に合わないことなどがあったとしても、「だからどうする」というところまできちんと一気に伝えて、誤解を生まないようにしたいものです。

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好かれる人が絶対しないモノの言い方

ちょっとしたひと言で、誤解や気持ちのすれ違いはスッキリなくなる! 言葉が生まれる前の「気持ち」をていねいに掘り下げながら、相手に好印象を与える「モノの言い方」を、NGとOKを対比し、どのように言い換えればよいのかを解説します。

著者:渡辺由佳

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