「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2019/10/09 11:37
「○○さん、レジお願いできる?」
「新しいレジの使い方、まだわかりません!」
消費税の増税と軽減税率の導入で、このような会話が日本全国で交わされているかもしれません。尋ねられた方としては、本当にまだ使い方がわからないので素直に「わかりません」と言っただけなのに、なぜか上司の機嫌が悪くなって困ってしまった、という経験をした人もいるのではないでしょうか。
わかりません!
まだ、やり方がわからないのですが、教えていただけますか?
なぜ、機嫌が悪くなってしまうのでしょうか。それは「わからない」で返事を終えてしまうと「わからないし、やる気もない」というニュアンスも含んだ返事に聞こえてしまうからなのです。
欧米では、イエス、ノーをはっきり伝えた方が良いと言われます。しかし、日本語の「ノー」のニュアンスの言葉は少し厄介で、「やろうとする気持ちもない」という印象を含んで相手に受け取られる可能性があります。つまり、
言葉の印象がこのように変換されたうえで、相手に受け取られてしまうこともあるのです。
ですから、誤解を与えないためにも「わからないからどうするのか」というメッセージを一気に伝える必要があります。
「まだやり方がわからないのですが、教えていただけますか?」と伝えれば、相手の気分を害することはまずないでしょう。「今はわからないけれども、教えていただければすぐにやる気持ちがあります」という前向きな気持ちを相手に伝えることができるからです。
「ビジネス会話はNOでは終わらない」という鉄則があるくらいです。わからないことや、できないこと、間に合わないことなどがあったとしても、「だからどうする」というところまできちんと一気に伝えて、誤解を生まないようにしたいものです。