日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2019/09/24 17:22
3連休最後の23日、予想外に天気が良くなったので、郊外の里山に出かけてみた。訪れたのは、JR横浜線十日市場駅から歩いて10分くらいのところにある横浜市緑区新治(にいはる)町。ここは里山の保存を進めており、住宅地の中に「新治里山公園」として昔ながらの里山が残されている。
地名の「新治」とは開墾地のことだ。古語で開墾することを「墾(は)る」といい、新しく開墾した土地を「にいはり」、開墾した田を「はりた」「はるた」といった。
「はり」や「はる」には、「治」「張」「春」「播」「針」といった漢字をあてて地名になっていることも多く、常陸国には新治(にいはり)郡という郡もあった(現在の茨城県石岡市・かすみがうら市の全域と土浦市・つくば市付近)。
そして、そうした地名に由来する名字も多数生まれている。なかでも茨城県南西部を中心に、埼玉県東部や栃木県南部にかけては、新しく開墾した谷に因む「はりがや」(針ヶ谷、針谷、張ヶ谷など)という名字が多く、ここから変化した「はりがえ」(張替、針替など)「はりがい」(針谷、針貝、張貝、張ヶ井など)なども集中している。
この他、「春田」や「治田」といった名字も、「はるた」という言葉に、あとからいい意味の漢字をあてたものとみられる。